感染症迅速検査(検査キット)その2(14/2/10更新)

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)
hMPV の迅速検査キットが販売され2014 年1 月に保険適応となりました。

[感度と特異度]
 現在市販されている検査キットの添付文書から
鼻咽頭ぬぐい液でRT-PCR法との比較
診断感度(陽性一致率):82.3%(51/62)
診断特異度(陰性一致率):93.8%(152/162)
有効度(全体一致率):90.6%(203/224)
ウイルス分離培養法との対比結果
診断感度(陽性一致率):93.0%(40/43)
診断特異度(陰性一致率):88.4%(160/181)
有効度(全体一致率):89.3%(200/224)

[診断に必要な時間]
陽性の場合は、反応時間5〜15分で判定できますが、陰性の場合は15分後。
試料溶液中のウイルス抗原量が製品の検出限界以下の場合や、検体採取が不十分であった場合には陰性となります。したがって、陰性となった場合でも、ヒトメタニューモウイルス感染の可能性をすべて否定するものではありません。

[検査の意義]
hMPVは小児の呼吸器感染症の原因ウイルスの一つであり、高齢者福祉施設での集団感染及び死亡例も報告されています。hMPV感染は、臨床症状からはRSウイルス、インフルエンザウイルス及びアデノウイルスなど他のウイルス感染ならびに百日咳などの細菌感染との鑑別が困難ですが、このキットによりhMPV感染を特定することで、薬剤の適正使用の推進が図れるとともに、感染拡大の防止を図ることができるということです。
薬剤の適正使用とは無意味な抗生物質の使用が防げる、ということで、hMPVに特異的な治療はありません。長期間続く熱の原因が、インフルエンザでもない、RSでもない、hMPVが原因である、と分かることは保護者の方の安心材料の一つになるかもわかりません。


マイコプラズマ抗原検査
以前お話した迅速検査は抗体をみるものでした。今回は他の検査キット同様抗原を見るもので、昨年の8月に検査キットが発売され、発売と同時に保険適応となりました。

[感度と特異度] 製品の添付文書から


[診断に必要な時間]
咽頭を拭った綿棒から抗原を抽出するために抽出液に2分以上静置し、その後テストプレートに滴下後15分〜30分静置し判定。
本キットによって陰性となっても、マイコプラズマ感染の疑いを完全に否定するものではありません。検体採取で、拭い液の採取不足が生じた場合に正確な結果が得られない可能性があります。

[検査の意義]
これまでの血清抗体検査では、抗体が産生されないと 判定ができないため、検査までに時間が必要でした。 これに対して抗原検査は、血液検査も必要ではなく肺炎マイコプラズマをより 早期に検出できる可能性があります。


今回新しく発売され、保険適応となった2つの検査キットを紹介いたしましたが、残念ながらノロウイルス検査キット同様、まだ当院では取り扱っていません。
マイコプラズマは抗生物質が効き治療方法がありますので、検査する意味はあると思いますが、添付文書を見ているとあまり感度が良くないようです。つまり陰性判定でもマイコプラズマ感染症の可能性が4割近くあるようです。また悪いことに最近は抗生物質の耐性菌が増えており、マイコプラズマを疑って治療していても効果が無いことが多いという事も問題です。
hMPVに関しては、インフルエンザもRSウイルスも陰性の場合に、今まではこれかも…といっていたのが、陽性になれば診断は付くので良いのかもわかりません。が、検査ばかりして陰性の場合にやっぱりわからない、という事になるので、今はまだ考慮中ですアデノウイルス感染症も検査キットはあり、当院でも扱っておりますが、同じ理由から実際にはあまり検査をしていないので、同じような状態になる可能性がありますね。

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