RSウイルス感染症

 少し前までは、病名を説明するのに、ウイルスの名前を挙げることはなかったと思います。最近はアデノウイルス感染症(29週参照)や、ロタウイルスなどと原因ウイルスの名前を説明することが多くなっています。昔は「かぜ」の一言で終わってしまっていました。これもウイルスを見つけるのが、簡単なキットで短時間でできるようになったからです。RSウイルスもそうですが、おそらくこの名前は初めて聞いた・・という方が多いと思います。

[特徴] 毎年冬から春にかけて必ず流行する極めてポピュラーで、又、乳幼児呼吸器感染症の最も重要な原因ウイルスです。流行のピークは12月〜1月です。乳児が生後最も早く感染するのがRSウイルスです。1歳の誕生日までに70%の乳児が初感染し、2歳までにほぼ100%が感染し、しかも半数の児は2度目の感染をします。乳児の初感染はすべて発症し、重症になりやすいですが、感染を繰り返すたびに症状は軽くなっていきます。年長時や成人は軽い上気道炎で治ります。冬季の小児の重篤な下気道炎はインフルエンザを除けばRSウイルス感染症が殆どです。

[症状] 潜伏期間は2〜8日。症状は初感染と再感染で異なります。乳児の初感染は40%くらいが重篤な下気道炎(肺炎、細気管支炎(45週参照))を起こします。年齢の小さいほど発熱は少ないです。中耳炎の合併も多いです。特に低月例児や未熟児、心肺に基礎疾患を持つ乳児では無熱のまま呼吸停止に陥って、致命的になることもあります。再感染は何度も繰り返しますが、再感染の度に症状は軽くなります。幼児期は約半数が気管支炎になりますが、年長になるにしたがって上気道炎だけに限局されるようになり、成人でははなかぜ程度ですみます。

[治療] RSウイルスに効く薬はありません。対症療法で呼吸管理が中心になります。抗生物質は合併症に対して使われます。重症例ではガンマグロブリンの投与を行うこともあります。最近はRSウイルスの抗体を、未熟児などのハイリスクの児に、流行が始まる前に予防的に投与する、ということが認められるようになり、注射薬ができています。

 小中学生では症状が軽く、あまりこの病気は問題になりません。1歳未満の子供がこの病気にかかったときには、安静にして、充分な水分、栄養がとれるように気をつけて下さい。軽い症状から始まりますので、痰の絡んだ咳がでだしたら、呼吸の様子を注意してみて下さい。

copyright(c) 2004 Yamauchi Clinic. all right reseaved.