百日咳

 百日咳も咳の続く病気です。名前のとおり、特徴的な咳がまさしく、百日は続きます。1970年代の前半に3週混合ワクチンが中止された後、大流行し、1970年代後半に予防接種が再開されて、再び流行がみられなくなったという歴史があります。ワクチンのおかげで今は殆どありません。私が開業した10年ほど前には年間2〜3名位は診ましたが、ここ7〜8年は全く診ていません。今年の春に本当に久しぶりに1名のお子さんを診たのみです。殆ど忘れられつつある病気になっています。

[原因] 百日咳菌の鼻咽頭進入によって起こる飛沫感染です。(風邪と同じ)

[症状] 軽い咳、はなといったかぜのような症状から始まり、「コンコンコンコン」と数回の連続の咳の後に「ヒーッ」と 一度深い吸気をし、又再び連続的に咳をした後吸気を行う、これを繰り返す特徴的な咳がでてきます。咳が続いて息ができないために、顔面紅潮や眼球結膜充血・出血、鼻出血、顔面に出血斑がでたり、口唇が紫色になるチアノーゼといった症状が出てきます。低月齢児では咳は全くなく無呼吸発作でチアノーゼとなり、手当てが遅れると死亡する事もあります。脳症をおこしたり、肺炎を起こしたりすることもあります。数週でひどい咳の時期は治まっていきますが、その後かぜを引いたりすると、再び百日咳特有の咳発作を繰り返したりします。それが無くなるのに百日要するので、百日咳という名前がつきました。

[治療] よく効く抗生物質があります。ただ、百日咳特有の咳が始まる前に使わないと効果がありません。この咳が始まってしまうといくら抗生物質を使っても、咳の期間を短くする事はできません。又、その咳を止める事も本当に難しいです。今、百日咳を殆ど見なくなったのは、勿論ワクチンのおかげだと思いますが、三種混合ワクチンを受けていないお子さんが気になる痰の絡んだ咳をしていると、とりあえず百日咳は疑いますので、早めに抗生物質を投与しますので、独特の咳の出ないうちに治っている子もいるのだと思います。

 私は話す機会があればいつもできるだけ三種混合ワクチンは早く受けるようにと言っています。それはワクチンの予防効果が非常に大きいのと、月齢の小さいお子さんは非常に重症になりやすいからです。ここ数年死亡者もない、本当に少ない病気になっていますが、まだまだ病気そのものは無くなっていませんので。

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