マイコプラズマ感染症

 今週はマイコプラズマ感染症の患者さんがありました。病名を知っておられる方もあるでしょうか?初期は風邪と鑑別しにくいことが多いです。肺炎を起こすこともありますが、小児の場合は全身状態はあまり悪くならないようです。

[原因] マイコプラズマ・ニューモニエという名前のウイルスと細菌の中間の大きさの病原菌によって起こります。(因みに細菌とウイルスではウイルスの方が小さいです)

[感染様式] 咳、痰からの飛沫感染です。潜伏期間は2〜3週間と長いです。感染力はそんなに強くは無く、家族内でも必ずうつるとは限りません。5〜10歳くらいの子供に多く、幼児や老人は少ないようです。少し前までは4年に1回オリンピックの開催される年に合わせて流行が見られたので「五輪病」とも言われていましたが、1992年以降はそういった流行のピークは見られなくなり、最近は秋から冬にかけて地域的に小流行があるくらいになっています。

[症状] 強く、頑固な咳。1ヶ月以上続くことがあります。気管支炎や肺炎を起こしていると高熱が続いたりしますが、レントゲンで肺炎の影があっても、熱の出ない場合もあります。子供の場合は朝には自然に下がって、夜に39度を越えるといった熱の出方をすることもあるようです。又、突然の高熱から始まって、数日経ってから咳が出てくる事もありますので、こいうときは本当に診断に困ります。血液検査をするとマイコプラズマに対する抗体価があがっているので、診断はできますが、抗体が上がるのには少し時間がかかるようです。
  上気道炎、気管支炎、肺炎が中心ですが、10%くらいに発疹を伴うことがあり、肝機能障害をおこす場合もあります。稀に髄膜炎、膵炎、心筋炎をおこすこともあるようです。

[治療] 自然に治る事もある病気です。マイコプラズマに有効な抗生物質がありますが、風邪と考えて一般的に処方する抗生物質とは少し違いますので、上述のように初期は非常に診断しづらく、熱が下がらず咳もひどいので初めて処方を変える・・・という事になる場合も多いです。ウイルスによる肺炎の場合も抗生物質は効果はありませんので、このあたりが診断に苦慮するところです。又、この抗生物質というのが、非常に苦く飲みにくい薬で、薬の嫌いなお子さんには本当に飲ませるのに苦労します。
  咳が長期間続く場合は、マイコプラズマ感染症であるかもしれません。他の病気である場合もありますが・・・他の医療機関で診てもらっても治らないから、と、受診される方があるのですが、投薬を変えて熱が下がっても、それがマイコプラズマによるものだったのが、ウイルスが原因で自然に下がった時期と一致したのか、難しいところですね!朝に下がって夜に上がるという熱型の時には、治ったと考えて薬を飲む時期を逃して、長引く事もありますので注意して下さい。

 

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