ノロウイルス迅速診断(14/2/3更新)

[検査の原理]
他の感染症の迅速診断と同じくイムノクロマト法により 糞便中のノロウイルス(NV) 抗原の検出を行いNV感染の診断の補助とします。

[検査の感度]
大塚製薬のクイックナビーノロ2では、一般に検査室で行われるRT-PCR法と比較して、一致率94.2%、感度92.0%、特異性98.3%と検出効果は非常に良くなっています。また、便検体においても、これまでの患者排泄便に加えて綿棒によ直腸便も検出可能となっています。その感度は90.2%、特異性は100%という事です。
偽陰性の原因として、検体中のウイルス濃度が大きく関係するため、発症後5〜7日以内の早期に検体採集を実施すること、または複数検体を採取することで陽性率が高くなります。
また偽陽性例では、浣腸便を使用した場合、嚥下補助食品を摂取した便である場合、生後間もない新生児便の場合、その確率が高くなるようです。

[検査の目的]
ノロウイルスの検査キットによる診断は2012年4月1日、3歳未満、65歳以上の高齢者を対象に保険適応となりました、これらの年齢層はノロウイルスの感染により重症化する可能性があるので、早期診断により適切な対応をする必要がある、という目的があります。
が、実際のところ、ノロウイルスそのもので死に至ることはなく、高齢者は殆どが誤飲による肺炎が死因となります。3歳未満でも特に重症になることはありません。前にも述べましたが、3歳未満は、保険診療上検査をしてもしなくても点数は取れませんのでとてもやりにくいです。
食中毒を含めた感染性胃腸炎の症状のある時には、細菌性胃腸炎、ウイルス性胃腸炎、その他の胃腸炎との鑑別が重要になってきます。細菌性胃腸炎とウイルス性胃腸炎との鑑別診断は、その後の治療内容が大きく左右されるので非常に大切です。

保険適応というのは、不要な治療や入院をなくすために考えられ、保険を通した方が、医療費を抑制できる場合に適応されます。適応外の年齢で検査をしたい場合には私費となります。
が実際のところ、ノロウイルスの検査をすることがどれだけの意味があるのか…、食中毒の場合は非常に有用ですが、それ以外の場合は個人的にはまず意味がないと考えております。なので、申し訳ありませんが、今のところ当院ではノロウイルスの検査キットは扱っておりません。
「ノロウイルスの可能性があるのだったら周りに迷惑かかるので検査して来てと言われました」…これが一番の問題です。 マスコミなどで騒がれると必要以上に恐怖を感じて大げさになっています。下手に検査キットがあるばかりに厄介です。また保育所等ではノロウイルスの胃腸炎とウイルス性胃腸炎を混同されており、下痢・嘔吐のあるお子さんに細菌性ではないのでウイルス性胃腸炎ですね、というと、幼稚園でこちらではウイルス性胃腸炎は一切流行っていません!と言われたり…(子どもの胃腸炎は殆どウイルス性です、アデノ?エンテロ?何が原因かは調べませんが、感染力が強いのも、弱いのもあります)。あるいは「ウイルス性胃腸炎かどうか調べてもらってきて下さい」…え???たぶんノロウイルスが原因かどうか調べて下さいという意味ですよね??
ノロでもその他でも原因がなんであれ、嘔吐、下痢をしている時の対応に違いはありません。下痢便の中にはウイルス、または細菌が存在するので、処理には十分気を付けて、手洗いもしっかりしないといけません。 周りに迷惑?!…症状があるうちは周りよりも本人が辛いので十分休んで、体調が良くなったら保育園に行く…それだけなのですが…。結構下痢だけが続いて、本人は元気にしていることも多いのですが…。ノロウイルスが原因だとしても、食中毒の場合の広がりは恐ろしいものがありますが、必ずしも家族全員に感染するとも限らないですね。

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