山内医院では、厚生労働省感染症サーベイランスを1週間単位で実施し、保健所に報告しています。そのデータをもとに、分かりやすく加工し直したのが、このページです。いまこの地域ではどんな病気が流行っているのか、感染防止の目安にして下さい。
■= 10 ■= 1
2011年2月28日〜3月6日

(第9週)
6


12


1
2 3 4 5 6 7 8 9 10

14
15

19
20



咽頭結膜熱 (プール熱)
      1
                  1
A郡溶血性連鎖球菌感染症
            1
              1
感染性胃腸炎   1
1
3


2

6




  1
1
1
1
5




 
8






30


水痘       1
          1
        2

手足口病
                            0
伝染性紅斑(リンゴ病)
                            0
突発性発疹
  1
                        1
百日咳
                            0
風疹
                            0
ヘルパンギーナ
                            0
麻疹
                            0
流行性耳下腺炎
                            0
RSウイルス感染症                             0

インフル エンザ 6


12


1
2

3

4 5 6 7 8 9 10

14
15

19

合計
32



  1
  1
6




4



1
6




3


2

3


3


  30


20

29
30

39
40

49
50

59
60

69
70

79
80


           
    2

                    2

【今週のコメント】
3月になりました。あれだけ暖かくなっていたのですが予想通りにまた寒くなり、雪が降りました!週末はまた気温は上がりましたが、来週はまた寒い1週間のようです。
いつまでたってもインフルエンザは出続けています。確実に少なくはなっているのですが、B型が増え、大人の方はもう殆ど感染されていません。ごく限られた幼稚園や、学校の1クラスのみでB型による学級閉鎖があります。保育所ではA型が多く、散発例でもA型が出たりして、混在の流行もようです。昨シーズンにAH1(2009)型(新型)に感染されている方のA型陽性例はおそらくAH3亜型(香港型)ですね。感染されていないA型陽性はどちらなのかわからなくなりました。AH3型が増えている訳では無いようで、AH1(2009)型の検出率が極端に減ってきているので、少し目立っているだけのようです。AH1亜型(ソ連型)は全く検出されていませんので駆逐されてしまったようですが、AH3亜型はまだ無くなってはいないのですが、おそらくこれからは流行の中心になることはないでしょうね。感染性胃腸炎とはまだギリギリ逆転はしませんでした。やはり年齢の小さい方が多いですが、調べてもロタウイルスは陽性にならない例も多いです。溶蓮菌感染症が春のピークに向けて多くなってきています。咽頭痛が強いのに、典型的な咽頭の所見が無い方が目立ちました。
あっという間に3月になって、高校はもう卒業式は終わりましたが、間もなく卒園、卒業式です。インフルエンザのせいで楽しみにしていたお別れ遠足に行けなかった方もありました。心残りでしょうが、また他の楽しいことを見つけましょうね。

[Hib・肺炎球菌ワクチン接種の一時見合わせについて]

Hibと肺炎球菌ワクチンが、因果関係は分からないものの、接種を受けた当日又は数日後に亡くなられた方が4例報告され、一時接種が見合わせられることになりました。お亡くなりになられた方がたのご冥福を、心よりお祈りいたします。

[子宮頸癌ワクチン(サーバリックス)の接種制限について]
何回も同じことを繰り返しているようですが、接種の希望数が準備したワクチンの本数をしのぎ、需要が供給をはるかに上回ってしまったとのことで、新規のワクチン接種の予約を受けないように、という通達がなされました。今予約の入っている方、また今までに接種された方のワクチンは保障される、ということです。
3月までに1回でも接種しないと無料にならない、という高校3年生の方については国と各都道府県に助成の延長を申し入れている、そうです。
安定供給されるのは5月〜7月という話です。しばらくご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。


■今週のトピックス<Hib・肺炎球菌ワクチン接種の一時見合わせについて>

兵庫県でのHibと肺炎球菌ワクチン接種後の死亡例が2例続けて報告され、1例ずつ間隔をあけてのものでは無かったので少し気にはなりましたが、2日と空けずに京都市内でも、2回目の3種類同時接種後に亡くなられた乳児の方があるとの報道に、はっきり言って非常にショックを受けました。因果関係は分かりませんが、お子様を亡くされた保護者の方のお気持ちは察するに余りあります。
この件に関しましてはテレビや新聞報道にもありましたが、今わかる範囲内のことをお知らせいたします。

Hib・肺炎球菌ワクチン接種の見合わせについては、テレビや新聞の報道でご存知の保護者の方が多かったです。
最初の例は宝塚市の2歳代男児、Hib・肺炎球菌ワクチン同時接種の翌日に亡くなられています。
2例目は西宮市の1歳代女児、肺炎球菌とDPT追加の同時接種の翌日に亡くなられています。
3例目は京都市の1歳未満の女児、2回目のHib・肺炎球菌・DPT同時接種の翌日に亡くなられています。
もう1例の方は川崎市の6カ月未満の女児で2月中旬に肺炎球菌(2回目)・Hib(1回目)・DPT(1回目)を受けられ、その3日後に亡くなられています。この例は他とは違って接種3日後の午前8時頃、自宅で呼吸停止しているのを母親が発見し、死因は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」とされたということです。が、ワクチン接種後の死亡事例があったことを報道で知った母親が3月4日午後、市内の保健所に電話で女児の死亡を連絡した、という経緯であります。
1例目と3例目の方は基礎疾患を持っておられた、ということですが、亡くなられた時の詳しい経過は分かってはいません。特に1例目の方は多数の基礎疾患がおありで、入退院を繰り返しておられたそうです。2例目の方は全く健康なお子さんが、接種日の夜中に39度に熱発、翌日に受診して咽頭扁桃の軽度発赤のみで、全身状態は良好で帰宅。午後1時半頃に呼吸停止しているのに気付き搬送先の病院で死亡が確認された、というものです。
死亡の原因とワクチン接種がどのくらい関わっているのかを証明するのは本当に難しいことだと思われます。因果関係の評価は3月8日に厚生労働省で会議が行われます。それまでの一時の接種見合わせになりますが、その後すぐ再開されるかどうかはわかりません。「検討をするために調査を開始する、結果が出るまでは接種の一時中止が望ましい」という結果になるのかもわかりません。

予防接種を受けたのちに亡くなられた、という事実は、そのご両親にとってはどうしても予防接種が原因である、と思われるでしょうし、今から接種をしようと考えておられた多くの方たちにとっては、わが子に降りかかる可能性のあることとして脅威に感じられるかもわかりません…。
肺炎球菌ワクチンあるいはヒブワクチンを接種すると三日以内の死亡率が高くなる、のか、肺炎球菌ワクチンあるいはヒブワクチンを接種しても三日以内の死亡率は同じである、のか、ということに関しては統計的な処理をすると差は見られないかもわかりません。川崎市の例については、年齢からみてもSIDSの可能性が強いと思いますが、ワクチン接種が引き金になっている可能性は否定はできません。SIDSはそもそもが原因不明な状態ですし。
1月から公費負担が始まった都道府県が多い為に接種される方は急激に増えて、小児用肺炎球菌ワクチンは推定110万人に215万回接種、ヒブワクチンは推定155万人に308万回接種されています。頻度は 4 / 215万 0.0002% となるのですが、新型インフルエンザワクチン後の死亡は 0.0006% と厚労省の資料にありました。
すでにアクトヒブは世界中で20年以上前から接種は始まっており、2億人以上の子どもたちに接種されており、他国はこのような詳しい統計はないのか、死亡数の詳細はわかってはいません。肺炎球菌ワクチンについてはまだ10年少しの歴史ですが、何千万人にも打たれています。いずれのワクチンも大きな問題は発生していないようです。
それが何故この時期に続けて死亡が報告されたのか?ロット番号はまちまちです。肺炎球菌ワクチンの製造月日は昨年10月頃のようですが、製造に何か問題はあったのでしょうか。今後増える可能性もあるでしょうか?

肺炎球菌ワクチンは他のワクチンに比べて腫れたり、熱発の報告は非常に多いです。発疹が出た、という人もあります。同時接種が問題でしょうか?副反応等に敏感な日本と違って、他の国々にとってはワクチン後の熱発はいわば当たり前のことで、5種混合、6種混合を普通に行っている国では熱は出ます、と言い切りますし、解熱剤をあらかじめ渡す国さえあります。ただやはり死亡例となると問題は大きくなります。どこまで因果関係があるか証明しづらい偶発的なものかもわかりませんが。

せっかくHib・肺炎球菌ワクチン接種の公費負担が始まり、日本もワクチン後進国から踏み出せたかと思われたのですが、これでもし中止になってしまうとすれば非常に残念なことです。ワクチン接種で?なくなられた方、またHib髄膜炎や、肺炎球菌感染症が原因で亡くなられた方の保護者にとっては今後いったいどう進むべきなのかが大きな問題です。
今回の4人のお子さんのことは本当に胸が痛みますが,ワクチンとの因果関係はまだ分かりません。繰り返しますが、因果関係はまだ不明です。ですから毎年数10人〜100人前後の命を救ってくれるこのワクチンを、安易に「危険なワクチン」と決めつけないで欲しいと思っています。

● リンク
京都市衛生公害研究所 国立感染症研究所感染症情報センター

 

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