ロタウイルス胃腸炎

 ロタウイルスについては感染性胃腸炎の時に述べましたが、今増えてきていますので改めてお話します。ウイルスが発見されるまでは、仮性コレラや、白色便性下痢症、乳児冬季下痢症といった病名で呼ばれていました。

[原因] ロタウイルス。ロタとはラテン語で車輪の意味です。ウイルスの形から名づけられました。A、B、Cの3群が人間に感染します。主にA群の感染が多いです。A群の中にも10種類以上のウイルスがありますので、繰り返しかかり、終生免疫は出来ません。大人になると症状は軽くなります。

[感染様式] 潜伏期間は2〜3日。便の中に排泄されるので、便から食器や食物に混じって他の人の口に入ります。吐瀉物からウイルスが飛び散って口に入ることも多いです。1週間くらいは便の中に排泄され続けます。大人の場合は症状がなく、便の中にウイルスは排泄されるので、そこからうつることもあります。口の中からもウイルスが見つかるので、空気感染も考えられています。

[症状] 突然の嘔吐から始まり、少し遅れて下痢が始まります。39度以上の高熱が出ることも多いです。下痢便は臭いが強く、白色でお米のとぎ汁のようになる事もあります。ここから、仮性コレラや白色便性下痢症という病名が付けられました。ただ白くならない事も多く、白い便だからといって、ロタウイルスとは限りません。新生児は症状は軽く、6ヶ月〜2歳くらいの幼児が多いです。3歳までに殆どの子供が感染するといわれています。年齢の小さい子供の場合は、下痢が長引き、一度なくなった嘔吐が又始まったり、高熱がいつまでも続いたり重症になることが多いです。3歳以上の幼児では症状は軽くなりますが、全体に下痢は治りにくいです。

[治療] ウイルスですので、薬はありません。一般的な下痢、嘔吐に対する治療になります。小さい子供に多く、治りにくいので、点滴が必要になることも多いです。下痢はあまり始めから止めてしまうと良くないですが、いつまでたっても水様便が治らないので下痢止めが必要になることもあります。飲んでも治らない事もありますが。

 最近は簡単なキットが出来たのですぐロタウイルスの感染が分かるようになりました。ただし、分かってもインフルエンザのように効果のある薬があるわけでもありませんが。長引きますので覚悟してください・・・という事が言えるのと、乳児の場合は脱水症を起こしやすいので、お母さん方にはお子さんの状態をよく見ていただく必要があると思います。こんな時どうするのところでも述べましたが、吐いている時には無理に飲まさないように気をつけてください。

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