感染性胃腸炎とはかぜと同じように、様々な原因によって起こる嘔吐、下痢を主症状とする症候群です。11月から増え始め、12月をピークに少し減少しますが、1月下旬から再び増え始め、3〜4月をピークに小さい流行の山がみられます。 [原因] ウイルスと細菌があり今の季節はウイルスが多く、暑い季節は細菌性のものが少し多く見られます。乳幼児はウイルスが原因になることが圧倒的に多いですが、色んな物を口にする為、病原性大腸菌等による腸炎も散見されます。 [感染様式] 経口感染・・・ウイルスや菌に汚染された食品、吐瀉物、便などが口に入ってうつります。飛沫感染もありますので嘔吐が強いときは菌が周囲に飛び散ってうつる人の数がふえます。ノーウォークウイルスは生カキによって感染することが多いですが、原因不明の食中毒患者からしばしばこのウイルスが検出されます。細菌に汚染された食品を食べた場合、細菌量が少ないと発症者は少なく、1千万個以上存在すると多くの人が発症し、いわゆる食中毒となります。 [症状] 嘔気、嘔吐、下痢、腹痛、発熱。咳やハナなどのかぜの症状は伴わないことが多い。ウイルスや菌の種類によって症状の重い軽いは様々です。ロタウイルスは重症化することが多く、嘔吐を繰り返して脱水症状を起こしたり、下痢も非常に治りにくく、長引きやすい。便の色が白くなるので白色便性下痢症、仮性コレラなどとも言われました。細菌性腸炎では血便になるものも多く、腹痛が強い様です。サルモネラ腸炎は高熱が続き経過も長いです。病原性大腸菌O157の食中毒で大腸菌の毒素により、尿毒症(腎不全)を起こして死亡例が出たことは、まだ皆さんの記憶に新しいことでしょうか? [治療] ウイルスが原因の場合は対症療法のみ。細菌性腸炎のときに抗生物質を使うか使わないかはいろいろと議論の多いところです。粘血便があったり高熱が続いたり重症例には使う方がいいようですが、保菌者(症状がなくて腸の中に菌が残っている人)を作る、とも言われています。大切なことは嘔吐している時はいっさい何も口にしないこと。少し落ち着いてから水分補給を少しずつ始め、吐かなければ柔らかいものを少しずつ食べさせる。栄養のことは二の次にして下さい。熱がなくても食べられなくてぐったりしていれば、入浴は避けてください。低月例児は水分を長時間与えないと脱水になってしまいますので、尿量が減って元気がなくなるようであれば速めに受診してください。 感染性胃腸炎はおなかのかぜと言うことが多いですが、食べたものが原因の食中毒タイプのもの以外のウイルス性のものをさすようです。ロタウイルスやアデノウイルスは便から間単にキットで検出できますが、それ以外のウイルスは簡単には分離できず、細菌を培養して見つけるのには時間がかかりますが、様子のおかしい便が出れば、持って来て頂いたほうが診断の助けになりますね。
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