中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染症(2015/6/8更新)

[中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染症とは]
Middle East Respiratory Syndrome Coronavirus(MERSコロナウイルス)という新種のコロナウイルス(以下、MERS-CoV)が原因の感染症です。2012年9月22日に英国で、中東へ渡航歴のある重症肺炎患者から初めて分離報告されました。
サウジアラビアなどでヒトコブラクダからウイルスが見つかっています。ラクダがMERS-CoVの重要な保有宿主であり、ヒトへのMERS感染の動物感染源となっているようです。しかし、ウイルス感染におけるラクダが果たす正確な役割や正確な感染経路は解明されていません。感染力は比較的弱いとされています。中東地域に居住または渡航歴のある者、あるいはMERS患者との接触歴のある者において、このウイルスによる中東呼吸器症候群(MERS)の症例が継続的に報告され、医療施設や家族内等において限定的なヒト−ヒト感染が確認されています。
2015年6月2日までにアフリカやヨーロッパ、アジアなど合わせて25カ国で1154人の感染が確認され、少なくとも431人が死亡しています。全体の79%はサウジアラビアで発症しています。報告されている発症国は中近東(アラブ首長国連邦、イエメン、イラン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン、レバノン)。ヨーロッパ(イタリア、英国、オーストリア、オランダ、ギリシャ、ドイツ、フランス、トルコ)、アフリカ(アルジェリア、エジプト、チュニジア)、アジア(フィリピン、マレーシア、韓国)及び北米大陸(アメリカ合衆国)

[症状]
発熱や咳、肺炎が主な症状で、下痢になる人もいます。症状が現われない人や軽症の人もいますが、高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人では重症化する傾向があります。
報告されたMERS患者の致死率は約36%です。

[治療]
特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。

[韓国における発生状況]
韓国保健福祉省は6月7日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染者を新たに14人確認し、うち1人が死亡したと発表しました。  感染者は計64人、死者は計5人になりました。
うち5人は、韓国初の患者(68)から感染した男性(35)が転院したソウルの病院の患者や家族です。同病院では、男性を診察した医師(38)も感染、地域の行事などに参加し不特定多数と接触したことが分かっています。感染経路は病院内に限られているとし、今のところ一般国民には広がっていません。
ウイルスの遺伝子検査した結果、サウジアラビアなど中東地域のウイルスとほぼ一致したと発表されました。ウイルスが変異して強毒化した、という可能性はありません。
同国初の感染者となった68歳の男性は、中東から戻った8日後に咳が出て発熱しました。男性は治療を求めて4カ所の医療機関を訪れたので、それが感染拡大の始まりとなりました。中東滞在歴を告げていなかった、というのもあったようです。


中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染症は、3年前に報道された時には、死亡率は高いものの、比較的限られた地域(名の通り、中東サウジアラビア等)に集中して見られるのみで、エボラ出血熱ほど発症者も増えなかったので、あまり注目はしていませんでした。6月に入って韓国で国内感染例が報告され、連日感染者が増えて目にする機会が増えてきたので、日本でも起こりうることだな…と思っています。中東での報告よりも韓国では亡くなった方は少なく、死亡率は低いので、少し安心しています。新種のコロナウイルス、ということで、SARSが思い出されます。これはいったいなんだったのでしょうね?過去の病気といって良いのでしょうか?が、これからはMERSのように、また別の新しいコロナウイルスによる感染症が出てくるかもわかりません。麻疹ポリオのように日本では駆除で来たウイルスも多いのですが…。前にも話したように、輸入感染症が増え、原因不明の咳、熱が下がらない場合は、デング熱しかり、渡航歴を聞いて、色々な事を考えないといけなくなっていますね。

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