ポリオ

 4月、5月は京都各地でポリオの予防接種が行われています。今回はポリオのお話をします。

[原因] ポリオウイルス。感者や不顕性感染者の糞便または咽頭分泌液から経口感染します。発症後1週間で咽頭分泌液にウイルスは排泄されなくなりますが、糞便中には数週間にわたって排泄されるので要注意です。

[症状] 潜伏期間は6〜20日(7〜12日が多い)。感染者の90〜95%は不顕性に終わり(症状が出ないで免疫が出来る)、約5%では、発熱、頭痛、咽頭痛、悪心、嘔吐などの感冒様症状のみで、1〜2%では上記の症状に続いて無菌性髄膜炎をおこします。麻痺型ポリオを発病するのは感染者の0.1〜2%です。麻痺は下肢に多くみられ、知覚障害はありません。自然に回復しますが、後遺症を残す事も多く、死亡率は小児では2〜5%、先人では15〜30%です。

[流行地域と発生状況] 世界の大部分では野生株のポリオウイルスによるポリオ患者の発生は無くなっています。日本では、1961年にワクチンを輸入して一斉投与を始めてから流行はなくなり、1980年の症例を最後に報告はみられていません。サハラ以南のアフリカ諸国や西南アジア諸国(インド、パキスタン、バングラディシュなど)では、まだ野生株が存在しています。2000年末にはポリオの流行が見られるのは世界で20カ国であり、2005年末にはポリオ絶滅宣言を行うというのがWHOが描いているシナリオです。

[ポリオワクチン] 日本では生ワクチンの2回接種が行われています。世界的には3回接種しているところが多いです。ポリオウイルスにはT、U、V型と3つの型があり、1回の接種のみでは、1つか2つの型のウイルスに対してしか免疫がつかない為、3つ全ての型のウイルスに対する免疫をつける為に2回接種することになっています。

ワクチン接種の問題点:ワクチンの有効率は90%以上ですが、ワクチン関連麻痺が報告されています。ポリオワクチンの経口投与の結果おなかのなかで、ウイルスが突然変異をおこして毒性をもって症状を起こしてしまうものです。200〜300万人に1人の割合です。1981〜2000年の間で15例が報告されています。接種者周辺における感染も530万回投与あたり1例みられています。野生株によるポリオが少なくなった今は、このことが問題になり、生ワクチンの経口接種ではなく不活化ワクチンの注射による免疫方法への移行を行っている国もあります。日本におけるポリオワクチンの今後については、不活化ワクチンへ移行するのか、ポリオ制圧が目前に控えているので、ポリオワクチン接種は中止するのか、多くの課題を抱えています。

昭和50〜52年に生まれた方:この年代生まれの保護者の方も多いと思います。百日咳・ジフテリア・破傷風三種混合ワクチン事故のために、ワクチンを受けている人が少なく抗体の保有率が悪いです。ポリオの流行している地域に渡航する時、お子様などの家族がポリオの予防接種を受ける時には、ワクチンを受けるようにして下さい。この接種は法律に基ずくものではないので有料になります。京都では市立病院などで接種しています。(予約制です)

 以前は2002年にポリオ絶滅宣言をだす・・・と言われていました。それがまだ絶滅には至っていません。2005年末まであと1年少しですが、果たして絶滅は出来るでしょうか?種痘は絶滅させることができました。ポリオワクチンはいつまで接種を続けるのか、、不活化ワクチンに変えるべきなのか?今の生ワクチン接種の状況では集団接種が必要なので受けておいた方がいいのですが・・・・大きな問題ですね!!

 

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