デング熱(14/9/1更新)

[デング熱とは]
ネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介されるデングウイルスの感染症です。デングウイルスは日本脳炎や西ナイル熱の原因ウイルスと同じフラビウイルス科に属し、4種の血清型が存在します。非致死性の熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱やデングショック症候群の二つの病態があります。ある型に感染すると、通常その型に対する終生免疫を獲得しますが、他の型に対する免疫は短期間にとどまります。また、異なる型に続けて感染すると、重度の合併症のリスクが高まるといわれています。
デングウイルスを媒介する蚊が生息する熱帯・亜熱帯地域で多くみられ、全世界で年間約1億人の患者が発生していると推測されています。日本での輸入症例は年間200名ほど。流行地から航空機によって感染した蚊が運ばれるなどして、国内でも感染する可能性があるといわれていました。

[感染経路]
ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊が他者を吸血することでウイルスが感染します。ヒトからヒトに直接感染するような病気ではありません。ヒト→蚊→ヒトの感染環を形成し、日本脳炎ウイルスにおけるブタのような増幅動物は存在しません。また、感染しても発症しない事(不顕性感染)も頻度は不明ですが多くみられます。

[発生地域]
熱帯や亜熱帯の全域で流行しており、東南アジア、南アジア、中南米で患者の報告が多く、その他、アフリカ、オーストラリア、南太平洋の島でも発生があります。最も日本に近い流行地は台湾です。
ヒトスジシマカは、日本のほとんどの地域(青森県以南)に分布しています。その活動時期は5月中旬〜10月下旬です。ヒトスジシマカの幼虫は、例えば、ベランダにある植木鉢の受け皿や空き缶・ペットボトルに溜まった水、放置されたブルーシートや古タイヤに溜まった水などによく発生します。人がよく刺されるのは、墓地、竹林の周辺、茂みのある公園や庭の木陰などとされています。

[症状]
3〜7日の潜伏期間のあと、突然の高熱で発症し、頭痛、眼(か)痛、顔面紅潮、結膜充血を伴い、発熱は2〜7日間持続します(二峰性であることが多いです)。初期症状に続き、全身の筋肉痛、骨関節痛、全身倦怠感を呈します。インフルエンザなど多くのウイルス感染症と同じです。発症後3〜4日後、胸部、体幹から始まる発疹が出現し、四肢、顔面に広がります。症状は1週間程度で回復します。
なお、ごくまれに一部の患者において、発熱2〜7日後、血漿漏出に伴うショックと出血傾向を主な症状とする致死的病態が出現することがあります。こちらがデング出血熱と言われるものです。
2010〜13年の4年間に海外渡航後日本で感染が確認された825人のうちデング出血熱を発症したのは37人(4.5%)です。重症例ではショック症状を起こし、適切な治療が行われないと死に至るケースもあります。感染者が爆発的に多いフィリピンでは昨年、感染者16万6107人のうち528人が亡くなっています。

[診断]
血液所見では、発症後数日で末梢血の血小板減少、白血球減少がみられます。
スクリーニング検査としては、最近は血液中のウイルス非構造タンパク抗原(NS1抗原)の検出キットが開発されており、早期診断に有用です。診断のための検査は、血液からの病原体の検出、PCR法による病原体遺伝子の検出、ELISA法による病原体タンパクNS1の検出、IgM抗体の検出、中和試験等による抗体の検出などで、確定検査を行います。
流行地で感染した人が帰国し、蚊に吸血されることにより、その蚊が周囲の方にウイルスを伝播する可能性は低いながらもあり得ます。なお、血液中にウイルスが確認される期間は、発症日の前日から発症5日後までとされています。帰国者(患者)の周囲の方でデング熱を疑うような症状があれば、渡航歴の有無にかかわらず検査を行うことも、場合によっては必要です。

[治療と予後]
特別な治療法はなく、症状に応じた治療が行われます。ワクチンは今のところありません。
子供がデング熱にかかってしまった場合、その症状は一般的に大人の場合よりも軽く、快復も早いと言われています。
デング出血熱を発症してしまった場合 適切な治療が施されなければ致死率は15%を超えてしまうので、注意が必要です。


「デング熱」は比較的軽い病気ですので、今まで注目したことはありませんでした。昨年で240名近くのり患があるという事なので、日本脳炎の年間10名以下、という発症数よりもずっと多いのですね。ただ、日本脳炎はその名の通り脳炎、の症状を起こしますし、後遺症が残る可能性も高いのですが、そういった心配はする必要ありません。逆によくその診断が出来たな…と感心してしまいます。発疹がでても、子どもの場合は「ウイルス性の発疹症」という名がついておしまいですので…。が、大人の方で発疹が出ることはあまりないのでそういったことも考えないといけないのかも知れませんが…。回復期の出血傾向さえなければ、基本的には放置していて良い病気だと思います。
今代々木公園に訪れた人で、高熱の出た人のスクリーニング検査が行われて、どんどん感染者が増えているのですが、代々木公園だけにウイルスを持った蚊が居るわけで無し。東京の他の地域でも、その他の府県でも、調べて無いだけで、感染者はいると思います。治療がある病気でもさほど重い病気でもないので、恐れないで、というようなニュースそのものがなんとなく、煽っているようで見るのも、聞くのも嫌になりますね。

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