血尿・蛋白尿(10/9/13更新)

血尿、蛋白尿、排尿異常があった時に考えられることは色々あります。中には重い病気も含まれています。

子どもの尿・排尿異常から考えられる主な病気

気になる症状

疑われる病気名

尿


尿





尿



尿

高血圧、顔のむくみ

 

急性糸球体腎炎症候群

手足の紫斑、腹痛、関節痛

紫斑病性腎炎

ほとんど学校の検尿で発見される

慢性糸球体腎炎症候群

排尿痛、頻尿、残尿感、微熱

出血性膀胱炎

側腹部痛、下腹部痛

尿路結石症

腹部のしこり・はれ、腹痛、体重減少、発熱

ウイルムス腫瘍

尿が黄色い、尿がにおう、頻尿、排尿痛、発熱、嘔吐、下痢

細菌性尿路感染症

高度の蛋白尿、低蛋白血症、高脂血症、むくみ

ネフローゼ症候群




尿

成長障害、発熱

尿崩症

急激にやせる、トイレが近くなる、夜尿が増える、全身倦怠感

小児糖尿病

ただ、血尿も蛋白尿も殆ど自覚症状はなく、健診で偶然ひっかかって見つかる事が殆どだと思います。出血性膀胱炎や、急性腎炎の時にははっきりと分かる肉眼的血尿になりますが、それ以外は検査をして初めてわかる顕微鏡的血尿です。蛋白尿は目で見てもわかりませんので、尿検査でしか発見されせん。今回は心配いらない場合のお話をします。

[無症候性血尿・蛋白尿症候群]
3歳児健診や学校の尿検査で、軽いタンパク尿や血尿が何の症状もない人に見つかることがあります。尿中に赤血球の凝集塊(円柱)または異常な形をした赤血球があれば、尿中の血液は糸球体から漏れ出たものであることがわかります。腎生検を行うと、糸球体に抗体が沈着していたり、血液をろ過する細胞がわずかに変化しているのがわかります。しかし、治療可能な病気が見つかる見込みはほとんどないため、腎生検はめったに行われません。
無症候性血尿・タンパク尿症候群の人には通常、年に1〜2回診察と尿検査を受けることが勧められます。尿中のタンパク質や血液の量が際立って増えたり、別の病気の発症を示す症状がみられた場合には、さらに詳しい検査を行います。この症候群が悪化することはあまりなく、同じ状態がいつまでも続きます。

[起立性蛋白尿]
起立性蛋白尿は尿検査で蛋白尿が見られるもので、これは病的なものではありません。立ったり、腰を曲げたりするときにだけでる蛋白尿です。腎臓に問題はありません。尿蛋白の量も多くはありません。血圧は上昇することもなく、顔や体がむくんだり、尿の量が減ることもありません。検査をしても一般検血や腎機能、X線検査などにも異常は認められません。
横になっているときは尿蛋白は陰性で、立つと尿蛋白は陽性になります。活動した後の尿に蛋白がみられても、起床時尿で3日連続で蛋白尿が陰性のときには起立性蛋白尿の可能性が高いといえます。尿の中にときに赤血球が少量見られることもあります。
日常生活はまったく普通でいいです。運動や食事の制限は不要です。大人になるとなくなります。

一般的に血尿は沢山出ていても異常がないことが多く、蛋白尿の量が腎臓の機能と比例するようです。定期的な尿検査で蛋白尿を伴わないものは大丈夫ですが、蛋白尿があり、次第に増えてきたりする場合は、将来腎不全に至るような慢性腎炎の初期症状である場合があるので、尿検査は必ず欠かさないようにして下さい。

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