尿路感染症(08/8/4更新)

[尿路感染症とは?]
尿路とは文字通り、尿の通る道です。腎臓でつくられた尿は腎盂、尿管、膀胱、尿道を通って外に出ます。それら全部をひっくるめて尿路と呼びます。細菌がこの尿路の中に入って増えた状態を尿路感染症と呼びます。炎症を起こしている場所によって、腎盂腎炎、膀胱炎などと呼び名が変わりますが、小さい子どもの場合には感染した場所を特定しにくいため、まとめて尿路感染症と呼んでいます。尿路の短い女の子に多く見られますが、乳児期には男の子に多い病気です。

[原因]
普通は尿の通る方向とは反対に、おしっこの出る尿道口から細菌が入って、上へ上へと腎盂の方に登ってきます。特に乳幼児では便の中にたくさんいる大腸菌が尿路に入ることが多いです。女の子の方が尿道が短いために細菌が入りやすいのですが、まだおちんちんの皮がむけていない男の子の場合も包皮と亀頭の間に垢がたまって細菌が入り易い状態になっています。おちんちんをさわる癖があるとよく尿路感染を起こします。
また、腎盂腎炎の場合、原因として先天的な尿路の異常が隠れていることもあります。多いのは膀胱から尿管へ尿が逆流してしまうケース。この膀胱尿管逆流現象は、3才以下の尿路感染症の半数以上を占めています。
〈起炎菌〉
幼少児…大腸菌、腸球菌、Citrobacter freundiなど、腸管内に棲息する細菌が原因となることが多いです。
思春期以降…大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、エンテロバクター属など腸内細菌科のほか、淋菌(Neisseria gonorrheae)、クラミジア・トラコマティスなど性行為感染症(STD)としても起こります。
複雑性尿路感染症(後述)、免疫不全患者など…緑膿菌、真菌、セラチア属などが問題になりやすいほか、クレブシエラ属や腸球菌などでも抗菌薬に高度耐性である菌がみられる頻度が高く、注意が必要。
ウイルス性の尿路感染症の中では、アデノウイルスによる出血性膀胱炎が重要。

[症状]
大人や大きい子の膀胱炎では排尿痛、残尿感などの自覚症状があります。また腎盂腎炎になると、腰の痛みや高熱がでてきます。しかし、乳幼児の尿路感染症には、このようなはっきりした症状はありません。発熱だけのことが大半です。また、下痢、不機嫌、ミルクの飲みが悪い、お腹が膨れているなどといった症状のときもあります。

[診断]
尿路感染症の診断は、まずそれを疑って検尿することから始まります。上に述べたような症状があり、尿中に白血球や細菌が確認されれば診断はつきます。単に尿の中に便が混じっていたり、おちんちんの先が化膿しているために尿中に細菌や白血球が出てきて尿路感染症と間違うことがあるため、注意が必要です。オムツをしている乳幼児の尿をとるのは難しいと思われるかも知れませんが、採尿パックといって、外陰部に貼り付ける便利な袋があります。採尿パックでどうしてもうまく尿が取れなかったり、便が混じってしまう場合には、清潔な管で尿をとることもできます。
小児の感染症の中では、気道感染症についで頻度が高いですが、特異的な症状が出にくいために見逃される危険があります。小児の尿路感染症は「かぜ症状」を伴わない発熱として認識されることが多く、抗菌薬の投与で解熱しやすいため、尿路感染症の診断がなされないまま治癒している例も相当数存在していると考えられます。

[治療]
抗生物質を使います(内服または点滴)。
症状の軽いうちに早く見つけて治療を行うと、だいたいはすぐに良くなります。しかし、尿路感染症に気づかずにいると、敗血症や髄膜炎といった重症の感染症に進展することもあります。
〈家庭での注意〉
[1]水分を多く取りましょう。
[2]おしっこがでたくなったら我慢しないようにしましょう。
[3]便秘をしないようにしましょう。

[再発予防]
繰り返す場合は、感染がおさまったあと、尿路の異常がないかどうか超音波検査をしたり、尿路に造影剤を入れてレントゲンを撮る検査などを行う必要があります。先天性の尿路の奇形が見つかった場合は、予防的に小量の抗生剤をのみ続けることもあります。男の子の場合、包茎があると垢がたまらないように常によく洗って、清潔にしておきます。女の子では排便後、前から後に向かってお尻をふく癖をつけさせます。また、オムツの中に長時間便をためないようにします。

  年齢の小さいお子さんは、熱のみの症状しかないので、非常にわかりにくいです。6ヶ月までのお子さんの発熱は要注意です。今の時期は夏風邪が多いので、特に解りにくいです。喉が赤いかどうかだけでは診断できません。しかしやはり、少し重症感はありますね。オムツのおちんちんのあたる部分にオレンジ色の着色があった後の熱、とかいうと必ず検査は必要ですね。幼稚園児くらいになりますと、痛みはあまり訴えないものの、頻尿があったりするので、膀胱炎として診断できることが増えてきます。頻尿だけでは、結構精神的なものも多いので、これも検査をしないとどちらかわからないことも多いですが・・・。

copyright(c) 2004 Yamauchi Clinic. all right reseaved.