山内医院では、厚生労働省感染症サーベイランスを1週間単位で実施し、保健所に報告しています。そのデータをもとに、分かりやすく加工し直したのが、このページです。いまこの地域ではどんな病気が流行っているのか、感染防止の目安にして下さい。
■= 10 ■= 1
2013年9月23日〜9月29日

(第39週)
6


12


1
2 3 4 5 6 7 8 9 10

14
15
 
19
20



咽頭結膜熱 (プール熱)
              0
A郡溶血性連鎖球菌感染症
              1
            1
感染性胃腸炎 1
  1
  1
          1
1
  1
6




水痘                             0
手足口病
      2

                    2

伝染性紅斑(リンゴ病)
                            0
突発性発疹
                            0
百日咳
                            0
風疹
                            0
ヘルパンギーナ
                            0
麻疹
                            0
流行性耳下腺炎
                            0
RSウイルス感染症 1
  1
                      2


インフル エンザ 6


12


1
2

3

4 5 6 7 8 9 10
 
14
15
 
19

合計

0
                          0
20
 
29
30
 
39
40
 
49
50
 
59
60
 
69
70
 
79
80


           
                          0

【今週のコメント】
予報どおり週の半ばから急に涼しくなりました。朝晩は20度を切っているので寒いと感じるくらいなのですが、昼はまだまだ暑いです。今年は10月上旬も暑い日が多く、11月中旬以降に急に秋が深まる、とのことです。
感染性胃腸炎は増えてくるかと思ったのですが、又気温が高くなってきていたせいか、今週は非常に少なかったでした。例年多くなるのは11月頃からですね。手足口病もさすがに少なくなってきました。9月の上旬に、軽い口内炎と手足に発疹があるのか?くらいの症状のお子さんからご両親が感染して、父母とも39度の高熱、手足に非常に沢山発疹もでて、大人の方が大変だった…というお話を聞きました。症状の差は自身が持っている抗体の差によります。ウイルスは何であったのかはわかりませんが、ご両親ともにそのタイプのウイルスには過去に感染したことが無かったのでしょうね。RSウイルス感染症は昨年と同じように今の時期から目立っています。生後6か月以下で喘鳴の強いお子さんは、まず陽性になります。生後1,2か月の月例での感染でなければ、長引くものの急激に悪くなってしまうことは少ないようです。高熱が下がらないお子さんは1才前後の年齢層が多いですが、2回目以降の感染では重症にはなりません。
今は運動会のシーズンです。中学、高校では10月上旬に体育祭、文化祭、合唱コンクールと行事が続くので、準備に忙しい毎日となります。この年代では続かず、中で流行ることも無いのですが、高熱を出されている方も多いので、無理はしないでください。

10月1日からインフルエンザワクチン接種の予約を受け付けます。
接種は10月16日からです。(65歳以上の方は10月15日から)
ワクチンの予約はこちらから
問診票はこちらからダウンロードできます。 〈子ども用(PDF)大人用(PDF)
高齢者インフルエンザ予防接種について(PDF)


今週のトピックス〈2013/14シーズンインフルエンザワクチン株〉
今年ももうインフルエンザワクチン接種の予約を受け付ける時期となりました。接種は10月16日から始める予定です。今シーズンのワクチン株が決まっていますので、お知らせいたします。

[ワクチン株]
A型株
・A/カリフォルニア/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09   変更なし
・A/テキサス/50/2012(X-223)(H3N2)         A/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)からの変更
B型株
・B/マサチュセッツ/2/2012(BX-51B)         B/Wisconsin(ウイスコンシン)/01/2010(山形系統)からの変更

昨シーズンの流行株は上図のとおり、ほとんどがワクチン類似株あり、変異株はAH3亜型でも2%のみです。従ってワクチン株と流行株はぴったり一致していたのですが、その割には例年よりはやや大きな流行になりました。1昨年が子ども中心の流行だったのが、昨年は大人中心の流行でしたが。
従ってWHOではワクチン株は昨年と同じA/ビクトリア/361/2011(H3N2)を推奨していますが、2012/2013シーズンのワクチン株であるA/ビクトリア/361/2011(IVR-165) (H3N2)は、鶏卵への馴化の結果、流行株と比べて抗原性が大きく変化しているため、もう一つの株として、鶏卵馴化しても抗原性の変化の程度が比較的小さいA/テキサス/50/2012を推奨したこと、A/テキサス/50/2012から開発された2種類のワクチン製造候補株のうち、流行株に抗原性が近い高増殖株はX-223であるという感染研および海外WHO協力センターの報告などを踏まえ、A/テキサス/50/2012(X-223) (H3N2)が製造株として選定されました。
B型については、国内外で山形系統が流行の主流であること、国民の抗体保有状況調査では、山形系統に対する抗体保有レベルは、ビクトリア系統に対する抗体保有レベルより低いこと、国内外の流行株の大半は、最近の代表株であるB/マサチュセッツ/2/2012と遺伝的に同じグループに分類されること、 B/マサチュセッツ/2/2012から開発された2種類のワクチン製造候補株について検討した結果、BXー51Bが増殖性、製造効率が良好であることから、山形系統のB/マサチュセッツ/2/2012(BX-51B) が製造株として選定されました。B型はビクトリア系、山形系の2種の流行が見られるため、ビクトリア系の株も入れた4価ワクチンが推奨され、アメリカでは4価ワクチンが販売開始されていますが、日本では、まだまだ4価ワクチンの製造は無理なようです。

昨シーズンは、ワクチン株と流行株がほぼ一致していたにかかわらず、ワクチンでは流行は抑えることはできていません。インフルエンザワクチンが効かないことに対していかに対応すべきか、ワクチン学会でもいろいろと考えられてはいるようです。今年のワクチン株が変わったことがその対策の一つで、卵馴化という現象が関係しています。

[卵馴化とは]
インフルエンザウイルスの培養には、鶏卵が使われています。
ワクチン株を卵に馴化させるため、その過程で抗原性が変化してしまい、ワクチンの元となる株と(野生株)と、流行株が一致していても、抗原変異した製造株でワクチンが作られるので、期待通りのワクチンの効果がでない可能性があるということです。
昨シーズンで使われたA/Victoria(ビクトリア)/361/2011(H3N2)株は、卵馴化による抗原性の変化はほぼ100%であり、 A/テキサス/361/2012(X-223)(H3N2)株では9%の変異に留まるとのことです。

インフルエンザワクチンは株が一致しても、いろいろと問題点が多いようです。ヒトの体の中でインフルエンザへの感染が起こっていなければ抗体が上がりにくいので、感染を受けていない子どもの場合は抗体価の上昇率は非常に悪いです。また抗体価が上がっても、ウイルスに感染する、という事は防げません。
インフルエンザワクチンの接種シーズンが始まるのですが、毎年言いますように、こういった事実をご理解の上、十分考慮して接種するかどうかを決めてください。

● リンク
京都市衛生公害研究所 国立感染症研究所感染症情報センター

 

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