胃腸炎関連けいれん(13/1/15更新)

[胃腸炎関連けいれんとは]
3歳未満の子で、ロタウイルスノロウイルスなどが原因の嘔吐下痢を発症して、多くは2−3日目頃に痙攣が起きる疾患です。1-2歳前後の乳幼児が多く、脱水を伴わない程度の軽症の下痢症で熱(38℃以上)がないにもかかわらず、けいれんを起こすことがあります。

[原因]
何故こういうけいれんが起こるのかはよくわかっていませんが、3歳以下の子どもに見られることから、脳の未熟性に関与するかと思われます。ノロウイルスやロタウイルスの流行する冬季〜春先に多いです。

[症状]
ほとんど短い時間(数分以内)でおさまる全身性けいれんであり、すぐに意識も戻り普段の状態となりますが、しばしば繰り返してけいれんをおこします(群発といいます)。ひとつのエピソード内に数回発生します。発作間歇期の意識は保たれます。検査では低血糖や電解質異常は認めず、髄液検査、頭部CT、間歇期脳波でも異常を認めません。けいれんが慢性的に持続することはなく神経学的な後遺症を残すことはありません。

[治療]
熱性痙攣の予防に用いられるジアゼパム坐剤(ダイアップ)は、効果がありません。軽症下痢症に伴う痙攣群発には、カルバマゼピン(テグレトール:1日1回5mg/kg)の内服や、リドカインの点滴静注が、再発予防に有効と言われています。
診断はあくまでも除外診断であり、安易に胃腸炎関連けいれんと診断することはできませんので、けいれんが群発する場合は、入院が必要になります。ロタウイルス、エンテロウイルス感染により脳炎・脳症が起こることもありますので、この場合は予後が不良であることも多いです。
胃腸炎関連けいれんは、繰り返すことも少ないので、下痢症のたびに予防的に抗けいれん剤を服用する必要はありません。

昨年末にこの状態で入院されたお子さんがありましたが、原因はノロウイルスでした。単発で終わるけいれんなら入院は必要ないのですが、やはり脳症、脳炎は否定できませんので、入院していろいろな検査をする必要がありますね。一回のけいれんだけでも、保護者にとっては非常に不安でしょうから、これが何回も繰り返されるとなれば、すぐに治るのですが、本当に生きた心地がしないでしょうね。

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