ノロウイルス胃腸炎 (04/12/27更新

感染性胃腸炎の原因がノロウイルスだろう・・・と書きました。ノロ?何?という感じですが、これは以前ノーウォークウイルスとか小型球形ウイルス、といわれていたものと同じです。今週はこのお話をします。

[原因]
1968年にアメリカのオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した感染性胃腸炎患者の便からこのウイルスが検出され、この名がつきました。1972年にこのウイルスの形態が明らかにされ「小型球形ウイルス」の一種とされました。その後の調査で、非細菌性急性胃腸炎を起こす小型球形ウイルスは2種類あることが分かり、その殆どが、今までノーウォークウイルスと呼ばれていたものであることが分かり、2002年8月、国際ウイルス学会で正式に「ノロウイルス」と命名されました。もう一つのウイルスはサポウイルスと呼ぶことになりました。人の腸管内で増殖し、糞便中に含まれて、河川や海に流出した後、カキ等の二枚貝に蓄積すると考えられています。

[感染経路]
1)汚染されたカキなどの二枚貝を、生あるいは充分に加熱調理しないで食べた場合
2)調理従事者や調理器具を介して二次汚染された食品を食べた場合
3)患者の糞便や吐瀉物から二次感染した場合
また家庭や共同生活施設など人同士の接触する機会が多いところで、人から人へ直接感染するケースがあるといわれています。普通の家庭では、3)のケースか、直接感染が多いのでしょうか?
食中毒としては、サルモネラ、カンピロバクターに次いで発生件数が多く、患者数では第1位となっています。

[症状] 
潜伏期間は24〜48時間。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱。通常1〜2日で治ることが多いです。発症しても、風邪のような症状ですむ人もあります。この場合、本人の症状は軽くても少量のウイルスを便から排菌しています。この排菌により二次感染が起こる可能性があります。

[治療]
対症療法のみ。脱水症状が強ければ点滴なども必要になります。

[予防]
食中毒としては、カキ以外にムラサキ貝、シジミ、ハマグリ等の二枚貝が原因になります。それ以外食品での食中毒もあります。食品の中心温度85℃以上で1分間以上の加熱を行えば感染性はなくなるとされています。手指、調理器具の充分な殺菌洗浄。患者の便や吐物に直接触らない事等に気をつけてください。ノロウイルスは乾燥すると簡単に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、吐物や便は乾燥させないで下さい。

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