麻疹:合併症

今週は麻疹の合併症の話をします。他の感染症よりも多く、重症になりますのでやはり麻疹はこわいですね。

( )内は、頻度

[1]細菌の二次感染
気管支肺炎(4〜7%)、中耳炎(9〜15%)、急性喉頭炎などがみられます。

[2]麻疹脳炎 (0.1〜0.05%)
年長児や成人に起こりやすく、症状の重さとは関係ありません。発疹出現後3〜7日ごろに発症することが多いです。

[3]亜急性硬化性全脳炎(SSPE) (100万人に1人、15歳未満人口の100万人に数人。最近は年間数例の報告のみ)
麻疹にかかった後、5〜10年後に発症します。稀な疾患で麻疹ウイルスの脳内持続感染が原因と考えられています。ウイルスが脳内で変異し、麻疹ウイルスとは異なった性質を持つようになりSSPEウイルスと呼ばれています。どうしてそのようになるのかは分かっていません。最初の症状としては、知能・行動の異常徴候として成績低下、性格変化、感情爆発など。続いてミオクローヌスけいれん(体の一部がピクッと動く)発作、歩行障害、不随意運動が出現し、筋硬直、無反応状態と進み、最終的には植物状態、末期には呼吸障害で死亡します。全経過は以前は1〜2年でしたが、最近はケアの進歩で1〜12年(平均6.4年)となっています。治療法はありません。

[4]麻疹アネルギー
麻疹ウイルスは細胞免疫機能を抑制し、ツベルクリン反応を陰性化するので、ツベルクリン反応自然陽転児の結核を発病したり、静止状態の結核を増悪させる恐れがあるので、結核感染の既往のある子供さんの場合は要注意です。

 昔の人が麻疹の子供を風に当てるといけない・・・といいましたが、これは麻疹の経過中に発疹が急に消えだし、肺炎と心不全による循環障害が加わり、一般状態が悪化する重症型の麻疹です。風に当ててなるわけではありませんが、昔は多かったようです。最近は稀です。麻疹の死亡率は感染途上国では10%です。先進国では年間に数例の死亡例しかありませんが、日本ではまだ年間50人前後の報告があり麻疹後進国です。今後は麻疹ワクチン接種を9ヶ月前後と入学前後の2回接種にすることも検討されています。

 

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