ツベルクリン反応とBCG接種

 先日、乳幼児のBCG接種の前に行っているツベルクリン反応を来年から実施しない、ということが新聞に載っていました。今週はこのことをお話したいと思います。

[ツベルクリン反応とは] BCGを接種する前に、結核菌に対する免疫があるかどうかを調べるためのものです。この検査は予防接種ではありません。結核菌から抽出した成分を注射し、この注射の48時間後に注射をして赤くなったところの大きさを測ります。免疫があれば注射部位の発赤が大きく現れます。10mm以上は陽性です。10mm未満は陰性です。

☆注意事項- ツベルクリン反応には、細胞性免疫が関係しているので、はしか、みずぼうそう等にかかったり、それらの予防接種を受けたあとでは、細胞性免疫機能の低下がおきてしまい、ツベルクリン検査を受けて、陽性なのに陰性になることがありますので、注意してください。

☆初めてのツベルクリン反応で、陽性になった場合- 結核の自然感染を受けていることが考えられるので、まず、同居家族などに結核患者がいないかどうか、結核患者に接触するような機会が無かったか、確認します。感染が確認された場合には、抗結核薬による治療をうけることになります。結核患者との接触が考えられないのに陽性の場合には、2週間後に再検査し、2回目が陰性であればBCGを接種します。来年からツベルクリン検査を辞めることになった背景は、乳児は身近に結核感染患者がいない限り、殆ど全員が陰性になるはずです。この一部の擬陽性の乳児がBCG接種を受ける機会を逃してしまう為に、始めから検査そのものを辞めて全員に打つことにした・・・ということです。

[BCGとは] 弱毒化した牛の結核菌の生ワクチンです。結核性髄膜炎や粟粒結核(全身の結核感染症)に対して高い予防効果があります。肺結核に対しては50%の発病予防効果があります。1回接種で10〜15年の効果があるといわれています。現在、結核の蔓延している開発途上国の殆どでは、新生児へのBCG接種が行われていますが、先進諸国では集団接種はしていないところが多いです。感染の危険性のある集団にのみ、積極的にBCG接種を行っています。日本でも、小学校、中学校の再接種は効果が無いということで、平成15年度より中止になっています。

 結核は昔ほど怖い病気ではなくなっていますが、まだ少なくはありません。乳幼児が感染して重症化するのを防ぐという意味でBCGは行われていますが、これも将来は個別接種に変わるかも分かりません。結核については後先になりましたが、次週にお話します。

copyright(c) 2004 Yamauchi Clinic. all right reseaved.