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生活習慣病について(京都医報より) へ 
●こんな時どうする?
●出席停止・学級閉鎖について(06/2/6更新)
  インフルエンザの時の学級閉鎖は皆さんご存知かと思います。学校における伝染病予防の強力な措置として行われるのが、学校の一部、または全部に対して授業を停止する学級閉鎖や学校閉鎖です。このような学校の臨時休業は、一般的に欠席者や罹患者が通常より急速に多くなったときに、地域における流行状況を考慮に入れて時期を失することなく実施されるものです。インフルエンザの場合は欠席ではなく、出席停止になりますね。今回はこのお話をします。
〔何故、伝染病になったら、学校に行ってはいけないのか?〕
  学校においては,感染症の中でも人から人に伝染する疾病、すなわち伝染病の流行を予防することが、教育の場・集団生活の場として望ましい学校環境を維持するとともに、健康な状態で教育を受けることができるためにも極めて重要です。このため、学校保健法施行規則において、学校において予防すべき伝染病の種類と出席停止の期間の基準等が定められています。
〔出席停止の期間〕
  出席停止の期間は、感染様式と疾患の特性を考慮して、それぞれの疾患について人から人へ伝染する程度に病原体が排泄されている期間を基準としています。このため、微量の病原体が咽頭等に存在しても、他人に感染するおそれがない程度であれば、出席停止の措置を講じる必要はありません。集団の中で流行する場合は、飛沫感染によることが多く、咽頭でウイルスが増殖している時期が出席停止を必要とします。一方で、糞便中に長期(1か月程度)にたってエンテロウイルスなどが排泄される場合については、手洗いの励行などにより他人への伝染のおそれは低くなるので、出席は可能です。
  出席停止は伝染病を3種に分けて規定してます。
  第1種:   感染予防法1類および2類の感染症でその病気が治癒するまでとされています。
  第2種:   飛沫感染する伝染病であり、出席停止期間の基準がそれぞれ規定されています。
  第3種:   学校教育活動を通じて流行を広げる可能性がある伝染病で、医師の判断、もしくは条件によって対応が異なってきます。

A.:登園・登校が必要な伝染病と登園・登校基準
分類
病名
登園・登校停止期間のめやす
第1種
コレラ ・赤痢 ・腸チフス 等
治癒するまで
第2種
インフルエンザ
解熱した後2日を経過するまで
百日咳
特有の咳が消失するまで
麻疹
解熱した後3日を経過するまで
流行性耳下腺炎
耳下腺腫脹が消失するまで
風疹
紅斑性の発疹が消失するまで
みずぼうそう
全ての発疹が痂皮化するまで
咽頭結膜熱(プール熱)
主要症状が消失した後2日を経過するまで
(但し、病状により医師が伝染のおそれがないと認めたときはこの限りではない)
結核
医師により伝染の恐れがないと認められるまで
第3種
腸管出血性大腸菌感染症
症状が改善し、医師により伝染の恐れがないと認められるまで
(無症状性病原体保有者には出席停止は不要)
流行性角結膜炎急性出血性結膜炎
眼症状が改善し、医師により伝染のおそれがないと認められるまで
B:条件によって登園・登校停止の措置が必要と考えられる伝染病
分類
病名
登園・登校停止期間のめやす
第3種
その他
A群溶連菌感染症
適切な抗生剤治療後24時間を経て、解熱し、全身症状良好となったとき
手足口病 ・ヘルパンギーナ
咽頭内でのウイルス増殖期間中は飛沫感染する為、発熱や、咽頭・口腔の所見の強い急性期は感染源となるが、解熱し、全身症状が安定していれば、出席停止の意義は少ないので登園・登校可
伝染性紅斑
発疹期には感染力はほとんど消失していると考えられるので、発疹のみで全身状態良好なら登園・登校可能
ウイルス肝炎
主要症状が消失し、肝機能が正常化したとき
マイコプラズマ感染症
感染力の強い急性期が終わった後症状改善し、全身状態良好なら登園・登校可
流行性嘔吐下痢症
下痢嘔吐から改善し、全身状態良好なら登園・登校可
C:通常登園・登校停止の措置は必要ないと考えられる伝染病
分類
病名
留意事項
第3種
頭シラミ
シラミの駆除。つめきり。タオル、くし、ブラシの共有をさける。
着衣、シーツ、枕カバー、帽子の洗濯と熱処理。発見したら一斉に駆除することが効果的
みずいぼ
原則として、プールを禁止する必要はない。多数の発疹のあるものは、プールでビート板や浮き輪の共有をさける
とびひ
病巣の処置と被覆。共同の入浴やプールは避ける。炎症症状の強いものや広範囲のものでは病巣の被覆を行い直接接触を避けること。

  飛沫感染を起こすものは、症状が出る前から感染力を持つものが多く、なかなか感染を止める事は難しいですね・・・。感染力の強いみずぼうそうは、休んでも結局2週間毎に発症して、年齢の小さいクラスなどでは全員感染して終わった、ということも残念ながら少なくありません。インフルエンザも誰か1人が発病し、休んだその1、2日後に一斉に欠席者、またはかなりの数の早退者が発生するというパターンですね。それを放っておくと次々と広がっていくので、学級閉鎖という措置になります。ただここ数年は、流行しても、特定のクラスだけで終わり、学校全体に広がる事は少ないという印象です。土日が休み・・・ということも関係するかもしれません。いずれにせよ、感染力の強い時期は急性期のみです。インフルエンザは解熱後も5日間くらいはウイルスを排泄し続けますが、2日間ぐらいの休みで、咳も強くなければ人にうつす力は少ないと考えます。
  出席停止期間はこのように学校保健施行規則で定められているのですが、あくまでも基準ですので、幼稚園などでは、独自の出席停止期間を設けているところもあります。ただし、感染力もないのにいたずらに長く休んでも、意味がないばかりか、元気になっている子供たちが休むことは苦痛に他ならない・・・と思うのですが!
●急に熱がでた
 今まで機嫌よく遊んでいたのに、急に元気がなくなってさわったら熱い!熱を測れば39度以上・・・急いでお医者さんに連れて行かねば!休日や夜間に限ってこういう経験をされる方も多いと思います。子供は本当によく熱を出します。でも、熱って本当は悪者じゃあないのです。体に進入したウイルスや細菌に反応して戦うために、体の温度をあげたりしているので、すぐには下げようとしないで下さい。水分を取らせて涼しいところで寝かせてあげて下さい。体を冷やすのを嫌がらなければ、首の後ろ、両側の頸動脈のあたり(側頸部)、両脇、両側の太ももの付け根(大腿動脈)の部分を冷やすのが効果があります。よく額に解熱シートを貼っているのを見かけますが、熱を下げる効果は少ないです。頭が痛いときには少し気持ちよくはなると思いますが・・・。でも、小さいお子さんはあまり冷やすと、泣いて余計に眠れなくなることもありますので、無理にしなくても構いません。眠って起きれば少し熱が下がって元気になった・・という事も多いですね!熱が続いて水分も取れずにぐったりしてくるようでしたら受診するようにしてください。
高い熱だから心配??
 ではありません。40度を超える熱が出た時、ほっておいて頭がどうかなるんじゃないか?!ほっておいて肺炎になるんじゃないか?!と心配される方がいます。脳炎や今問題のSARSの肺炎などは、41度、それ以上の熱が出たりします。ウイルスの力が強いと体温調節が出来なくなってしまうので、高熱になりやすいですが、高熱を放置した結果重症になることはありえません。熱以外の症状で、顔色が悪かったり、激しく嘔吐したり、意識がはっきりしていないようだったり、様子がおかしいようでしたら時間にかかわらず早めに医療機関に受診するようにしてください。逆に新生児や、乳児の場合は高熱がなくても、髄膜炎や重い感染症を起こしていることもありますので、熱の高さよりも、本人が飲めているか、眠れるか、元気に泣けるか・・を目安にしてください。
解熱剤は使ってもいいの??
 
熱のせいで眠れない、水分も飲めない、安静が保てない状態であれば使ってもかまいません。日常生活が邪魔されなければ使う必要はありません。高い熱が続く場合は解熱剤で下げても又、上がってきます。熱が上がる時の方がふるえがきたり、手足が冷たく、青色も悪くなってかえってしんどかったりしますので、我慢が出来るのであれば、夜眠れない時に、1日1回位の使用に止めておくのが良いでしょう 。
●おなかをこわした時
 子供はよく下痢をしたり、もどしたりします。原因で多いのはウイルス性胃腸炎、いわゆる「おなかのかぜ」というものです。これも、夕食は普通に食べて元気だったのに、夜中に突然もどしたと思ったらはき続けてぐったりしてしまうというように、急に発症することが多いです。
 もどしているときは、脱水にならないように水分を摂らせないと・・・と考えがちですが、嘔吐してすぐに水分を与えると、又もどしてしまいます。胃の中が空になるまでは吐き続けますし、胃の動きが落ちている時は、何を与えて吐いてしまいますので、そんな時は、のどが渇いたといっても何も与えないで下さい。半日くらいは水分も何も与えなくても大丈夫です。おなかを休めるほうが治りが早いです。栄養分を摂らないと・・・という心配も要りません。おなかの動きが良くなれば、必ず失った分は取り戻せますので。子供さんの食欲に合わせてゆっくり、食事を増やしていってください。たんぱく質や脂肪分は消化されにくいですので、炭水化物を中心にあげて下さい。繊維の多い野菜類も控えてください。少しずつ何回にもわけて食べさせるのが良いでしょう。赤ちゃんの場合なら、母乳はそのまま欲しがるだけ与えてもいいですが、ミルクの場合は下痢や嘔吐の強いときは、70〜80%に薄めて飲ませるほうが良いでしょう。
急いで病院に行かないといけない時は?
 激しい嘔吐でぐったりしてしまった時、強い腹痛のある時、便に血が混じっている場合などは早めに受診して下さい。特に周期的に激しい腹痛と嘔吐を繰り返す時などは、腸重積という病気の場合もありますので早い処置が必要になります 。
●けいれんを起こしたら!
 保護者の方にとって、突然のけいれんほど怖いものはないでしょう・・・
  死んでしまうんじゃないか、と不安になってあわてて救急車を呼んだ、という方もあるかもしれません。けいれんに対しては、とにかく安静にして刺激をさけることです。嘔吐をすることがあるので、顔を横に向け、吐いたものがのどにつまらないようにすること。首の周りの服をゆるめて呼吸が楽に出来るようにすること。舌をかむことはありませんので口の中にものを入れる必要はありません。そして落ち着いて子供さんの様子を観察してください。体全体がけいれんしているのか?手足だけなのか?殆んどのけいれんは5分以内におさまります。この5分というのは死ぬほど長いようですが・・・ワッと泣いて意識が戻り、後しばらくうとうとしたりします。
 ただ、初めてこういうけいれんを目の当たりにしたお母さんに、5分間落ち着いて待ってください、というのは酷な注文ですが・・・
熱性けいれんを一度起こしたら?
 
けいれんの原因の7〜8割は熱性けいれんです。熱の上昇しだす前にけいれんを起こすこともありますが、急激に39度以上の高熱になるときに起こりやすいようです。突発性発疹やインフルエンザは熱性けいれんを起こしやすい病気です。熱が上がれば必ずけいれんを起こすわけでもなく、一生の間に1回しかけいれんを起こさない子供も多いです。最近はけいれん予防の坐薬があり、熱性けいれんを繰り返す子供さんには予防的に使いますが、1度しかけいれんを起こしたことのない子供に対して、熱が出る度に使用するかどうかは議論の多いところです。
急いで病院にいく目安は?
 5分以上けいれんが治まらないときは、救急車を呼んで、病院に行ってください。インフルエンザの場合は、脳症をおこすこともありますので、意識障害の強いときは、急ぐ必要があります。他のウイルスの脳炎や髄膜炎、細菌性の髄膜炎などの場合は、けいれんの時間よりも激しい頭痛や嘔吐が問題になります。外傷後の場合はもちろん最優先で急行してください!熱がない場合はてんかんなどが考えられます。急ぐ必要はありませんが、検査は必要です。泣き入りひきつけは、呼吸が止まるので顔面が紫色になり意識がなくなることもありますが、必ず1〜2分で元に戻りますので、心配ありません。あまり頻度が多かったり、2分以上続く時はてんかんなどが疑われることもありますので、検査が必要になります。腸炎のときにもけいれんを起こすことがあります。予後はいいですが、脱水が強い場合がありますので、このときも要注意ですね 。
●呼吸が苦しそうなとき
 2歳未満、特に1歳以下の子供さんで、喘息のようにゼーゼー言う音をさせることがあります。冬に多く、最初は普通の風邪のようで、元気で軽い咳をしていただけだったのに、段々痰がからみだして、熱はあまり上がらないのに、苦しくてミルクが飲めなくなる、飲んでも咳でもどしてしまったり、呼吸困難で眠れなくなったりと、重症になることがあります。毛細気管支炎といって、ウイルスが原因です。ミルクが飲めないと脱水になり、痰が詰まって顔色が悪くなったりして入院が必要になることも多いです。ミルクの哺乳量が減ったり、もどす症状が強ければ早めに処置を受けないといけません。
 ひーひーと声がかすれてケンケンという犬が吠えるような咳をすることがあります。喉頭炎といって声を出すところ(声門)に炎症があるとこういう状態になります。声門の炎症が強いと腫れ上がって気道が狭くなり、呼吸困難を起こします。夜中に突然こういう状態になることが多く、咳き込んで呼吸が出来ない様子であれば急いで病院を受診するようにして下さい。
肺炎はこわい?
 肺炎。と聞けば重い病気だ・・・と考えがちですが、最近の肺炎はウイルスが原因になっていることが多く、呼吸困難を起こして死につながるほどのものは少ないです。最近はSARSが問題になっていますが、これは少しおいておいて、レントゲンを撮った結果、肺炎の影が見つかっても本人が元気であれば、入院する必要がないことも多いです。咳がひどく高熱が下がらない時は肺炎を起こしている可能性はありますが、血液検査の結果、炎症反応(CRP)が高くなければ、まず心配ありません。マイコプラズマ肺炎も比較的良くみられる病気ですが、これは異型肺炎と名付けられていることもあり、レントゲンの所見が強く、咳が長期間続いたりしますが、比較的本人は元気で熱がない場合もあります。よく風邪をこじらせて肺炎になった・・・というような表現をする人がありますが、これは間違っていますね。高齢者はそういうこともありますが、元気なお子さんの場合は、肺炎を起こすほど力の強いタイプのウイルスに感染した結果なのだ、ということになります。ただ、乳児の場合は、ウイルスではなく、肺炎球菌やブドウ球菌といった細菌性の肺炎になることが多く、経口の抗生物質で熱が下がったと思ったら、薬をやめると又発熱し、最終的に肺炎になってしまうこともありますので、薬の使い方が問題になるのでしょうか?1歳前後の子供さんの場合は、熱や激しい咳のせいで水分が摂れなくなると、脱水で体力も消耗しますので、逆に肺炎はなくても点滴を続けるために入院しないといけないこともありますので、肺炎の有無よりも本人の全身状態のよしあしが問題になります 。
●食べられることと、眠れることと、遊べること
 人間が生きていく上で、この3つは非常に大事ですね。どんな状態のときでも、この3つのことができれば大丈夫です。赤ちゃんの場合なら、ミルク、おっぱいが飲めて、すやすやと眠れる。お母さんの顔を見ればニコニコと笑って、泣くときは大きい声で泣いている。こういう状態であれば大丈夫です。逆に良く眠っているからといっても、ミルクを飲む時間になっても起きてこずに、あげようとしてもあまり飲まずに又眠ってしまうのであれば、しんどいサインですので、気をつけてください。弱々しい声でしか鳴けないときも要注意です。風邪で薬を飲まないといけない状態かどうか?すぐに病院に行かないといけない状態かどうか?というのもこの3つのことが出来ているかどうかを目安にしてください。
 お子さんのことは毎日見ているお母さんが一番良く分かると思いますので、ふだんと違って様子がおかしい・・・と思うことがあれば、遠慮せずに受診する様にして下さい。

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