スギ花粉症舌下免疫療法(2014/12/8更新)

[舌下免疫療法とは]
この免疫療法とは、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法(減感作療法)です。アレルゲンを体内に入れる方法は、主に注射による皮下免疫療法と舌の下の粘膜から投与する舌下免疫療法があります。
従来、アレルゲン免疫療法は皮下免疫療法が中心でした。シダトレンは国内で初めて承認された、舌下に投与する減感作療法薬であり、従来から施行されてきた皮下注射による減感作療法と比べ、自宅での服薬が可能であり、注射による痛みもなく、アナフィラキシーも起こしにくい、という事で注目されています。
特徴は以下の通りです。
●アレルギー症状を軽減したり、長期にわたり症状をおさえる可能性のある治療法です。
● 治療前に、症状がアレルゲンによるものかの確定診断が必要です。
● 治療は長期間(3〜5年)かかります。
● すべての患者さんに効果が期待できるわけではありません。
   舌下免疫法で根治する例は10〜20%程度。少しの症状があったがとても良かったという人が20〜
   30%、効いたと思うという人が20〜30%で、全体の70〜80%の人に有効でした。
   完治率は20%程度のようです。

[治療対象者]
血液検査でスギの特異的IgEが上昇しており、なおかつスギ花粉の時期に特に症状が強い方。
原則として12歳以上。また、適応年齢の上限はないため、高齢者の方も治療を受けることができます。高齢者のかたは、効果のある方の割合がやや少なくなると予想されます。3〜5年飲み続けないと効果が出てこない、という事も考慮してください。
また以下の方は治療できません。
・妊娠されているかた、および、近いうちに妊娠希望のかた
・重症の喘息を合併しているかた
・重い心臓の病気を合併しているかた
・癌の治療をしているかた
・免疫不全などの病気の方 治療で免疫抑制剤を使用しているかた
※高血圧でベータブロッカーという薬を服用している方は、他の薬に変更する必要があります。

[服用方法]
1.増量期(1〜2週目)
1日1回、舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがい・飲食を控えます。
増量期として投与開始後2週間は少量から徐々に増量して行きます。
2.維持期(3週目以降)
増量期終了後、維持期として、シダトレン スギ花粉舌下液2,000JAU/mLパックの全量(1mL)を1日1回、舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込みます。その後5分間は、うがい・飲食を控えます。
また、舌下への投与後、2時間は激しい運動や入浴などは避けて下さい。

最低でも治療開始後は2年間毎日服用を続けなければなりません。
毎日の通院は不要ですが、新薬でありますので厚生労働省の決まりで、発売後約1年間は2週間分しか処方ができません。来年の10月までは2週間に1回の通院が必要です。その後も月に1回の通院が必要です。

[副作用]
主な副作用は、口腔内のかゆみなどの局所的な症状となります。
・口腔内のかゆみ ・口唇の腫張 ・咽頭刺激感
・喘息発作 ・消化器症状 ・腹痛 ・嘔吐 など
稀にアナフィラキシーショックなどの副作用が報告されていますので、第1回目の服用は医院の中で行い、30分間は何も起こらないことを確認する必要があります。

[治療開始時期]
スギ花粉症の治療の場合、花粉が飛びはじめてから開始するとアレルゲンとの接触量が増えてしまうことから、花粉飛散の3ヵ月前からの治療が必要です。2月ぐらいから花粉飛散がはじまることを考えると、少なくとも11月以前に治療開始することが望ましいです。12月でも治療を開始できますが、安全に行なうためにスギ花粉の飛散する時期には開始できません。1月中旬から5月末は治療を開始できないと考えて下さい。


当院でも処方可能となりましたが、上述のように、今はもう12月になっていますので、今年中に治療を始めようとすると、12月15日服用開始、が最低条件です。その時までにスギに対する特異的IgE高値であることがわかっていないといけません。以後は来年の夏以降に治療開始となります。

スギ花粉症に非常に悩まされている。他の花粉症やハウスダストのアレルギー性鼻炎治療ではないですか?
発売から1年間は2週間に1回の通院が必要。その後も1ヶ月に1回の通院が必要です。通えますか?
毎日舌下に投与します。服用後2時間は運動、入浴、飲酒は禁止です。治療期間も年単位です。根気よく治療ができますか?
根治する方もありますが、効果のない方もあります。全員が根治する治療でないことを理解されていますか?

以上の事を十分にご理解の上、舌下免疫療法を希望される方は、ご連絡下さい。

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