アナフィラキシー(14/7/28更新)

[アナフィラキシーとは]
ヒトや他の哺乳類で認められる急性の全身性かつ重度のアレルギー反応のことです。複数のアレルギー症状が、複数の臓器にわたり短時間で生じます。

[原因]
外来抗原に対する過剰な免疫応答によりアナフィラキシーが起こります。その原因は大きく分けて3つになります。
(1)食品
日本では約100人に1人は食物アレルギーを持っていると言われていて、学校では同じ学年に最低でも一人くらいは食物アレルギーの人が居るという事になります。
多いのは牛乳、小麦、卵で三大アレルゲンと呼ばれています。他に発症件数が多いのが甲殻類のエビやカニで、大人で原因になることが多いです。そして発症した場合に重症度が高いものが、そばと落花生です。これら代表的なもの以外にも大豆や魚類、肉類、野菜、果物といった多くの食物が原因となります。
(2)薬品・化学物質
薬物アレルギーは、元々アレルギー体質な方の発症が多く、遺伝も大きな要因となっています。また、長期的に同じ薬を継続して使用している場合も起こりやすくなります。アレルギー体質の方はごく微量の摂取で重篤な反応を示してしまうケースもあり、薬の使用には特に注意が必要となります。
薬物アレルギーの多くが、ペニシリンなどの抗生物質、アスピリンなどの消炎鎮痛剤や、造影剤などに含まれる成分が原因でショック症状を引き起こします。
(3)虫や動物による刺傷・咬症
アナフィラキシーを引き起こす可能性のある虫さされとしてはハチが最も代表的であり、中でもスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチが重要です。ハチ毒に対するアレルギー反応がない場合は、局所症状は数日で改善します。しかしながら、ハチに一度刺されてハチ毒に対する抗体ができている場合は、再度ハチに刺された後5〜10分以内にアナフィラキシーを起こすことがあります。また、ハチ毒の成分は種類によって異なりますが、スズメバチ類とアシナガバチ類の毒成分は類似しているため、アシナガバチに刺された経験がある人は、初めてスズメバチに刺された場合でもアナフィラキシーを生じる可能性があります。
他にはハムスターなどのげっ歯類のアナフィラキシーが報告されています。

[症状]
もっとも多いのは、じんましん、赤み、かゆみなどの「皮膚の症状」。次にくしゃみ、せき、ぜいぜい、息苦しさなどの「呼吸器の症状」と、目のかゆみやむくみ、くちびるの腫れなどの「粘膜の症状」が多いです。そして腹痛や嘔吐などの「消化器の症状」、さらには、血圧低下など「循環器の症状」もみられます。これらの症状が複数の臓器にわたり全身性に急速にあらわれるのが、アナフィラキシーの特徴です。
特に、急激な血圧低下で意識を失うなどの「ショック症状」も1割程みられ、これはとても危険な状態です。

[治療]
軽い皮膚や粘膜症状の場合は抗ヒスタミン薬、呼吸器症状には気管支拡張薬、症状が重くなってくると経口副腎皮質ステロイド薬などの内服薬が用いられます。
ショック症状(ぐったり、意識障害、失禁など)やのどの強い症状(のどが締め付けられる感じ、声がれ、声が出ないなど)、呼吸器系の強い症状(強い喘鳴、呼吸困難など)があらわれた場合には、救急受診が必要です。最近はアドレナリン自己注射薬(アナフィラキシー補助治療剤)が普及し自宅でも対応できるようになってきています。

原因になるものがわかっている場合には、その物質を避けることが一番大切です。が、小さいお子さんの場合、兄弟が食べこぼしたものをなめたりすることがありますので、誤食の可能性はありますので、もしものときに、落ち着いて素早い対処ができるよう、正しい知識でそなえましょう。

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