鼻出血(14/5/26更新)

子どもの鼻出血は、日常しばしばおこる症状です。成人に比べ、背景に重篤な病気があることは少なく、ほとんどがキーゼルバッハ部位からの出血など、心配の少ないものです。

【原因】
[局所的原因]
左右の鼻の孔を仕切っている鼻中隔の前部(キーゼルバッハ部位)が傷ついておこることが最も多く、約80%はここからの出血です。
・鼻かぜやアレルギー性鼻炎をおこしているときは、鼻の粘膜が充血し、加えて強く鼻をかんだり、直接指で触ったりすることで、この部位が傷つきやすくなります。また、日ごろから鼻の孔に指を入れる癖のある子どもは、だいたいこの部位に傷ができています。
・その他、年齢を問わず、鼻の外傷、鼻中隔弯曲症が原因で鼻出血がおこることがあります。
・大人では、鼻腔腫瘍、上顎がん、鼻とのどの間にある上咽頭にできた腫瘍などが原因で鼻出血がおこります。これらの腫瘍がある場合は、悪臭のある鼻汁に血が混じるかたちで、比較的長期間続きます。
・大気汚染による鼻血:「光化学スモッグ」など、汚染物質の多い地域では、鼻血にかかる人多い傾向があります。 その原因は、汚染物質による、鼻粘膜の損傷だと考えられています。 鼻粘膜が損傷しての出血なので、症状は一時的です。長く続くようなら、要注意です。

[全身的原因]
・血友病・紫斑病・白血病などの血液の病気、肝臓病など、血管から出血しやすくなる病気に伴って、鼻出血がおこることがあります。
・また、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの血管壁がもろくなる病気でも鼻出血がおこることがあります。

議論になっている点については、「高線量被曝による急性障害ではありえないので、鼻血との因果関係は否定される」。一方「放射性物質が付着した微粒子が鼻腔内に入って低線量でも鼻血が出る現象はあり、医学的根拠がある」とするものです。鼻腔内に入って刺激になる粒子は花粉、たばこ、黄砂、PM2.5等々沢山ありますね。放射性物質が一緒について鼻粘膜が被爆して鼻出血が起こった可能性は否定できないのかもわかりませんが…。
あれから3年。ハナの粘膜に被爆した放射性物質が残っているのなら、鼻出血をおこされた人々に何か大きな問題は起こっているのでしょうか?


【処置】

鼻出血を予防するのに重要な手順は、鼻をほじらないようにし、冬季には室内を加湿し、鼻の中が乾きやすい人は、ゲル化した生理食塩水かワセリンを鼻中隔の前部に塗って保湿することです。

鼻出血の処置は通常は家庭ででき、指で鼻の両側をつまみ、10分間圧迫します。鼻をしっかり圧迫し、10分間は一度も手を離さないことが重要です。横になるより座位の方が出血量を減らすことができるので、全身状態が悪くなければ座位の姿勢をとります。また、上を向くと血液がのどにまわってくるので、やや前かがみとなります。血液を飲みこむと後で気持ち悪くなったり、嘔吐することがあるのでのどにまわった血液は口から出すようにします。鼻血が出るとパニックに陥って、大量に出血しているように思いますが、実際の出血量というのはそう多くないことがほとんどです。また、興奮して血圧が高くなると尚更、止血しにくくなります。あわてず、落ち着いて深呼吸をしながらピンチングを行ないます。
家庭では、氷のうで鼻を冷やす、ティッシュペーパーを丸めて鼻に詰める、頭をさまざまな位置に向けるといった処置がよく行われますが、効果はありません。
多量に出血する場合や少量でも30分以上止血しない場合は、早期に医療機関(耳鼻科)を受診してください。

鼻出血はお子さんの場合は本当に訴えの多い病気です。当院でもインフルエンザの検査の時に鼻を強くかみすぎた時、綿棒での検査の際に出血したりと・・・。ちょっと止まりにくいこともあります。
子どもさんは全身の病気で鼻血がでることは少ないので心配はありませんね。出血を繰りかえす場合は耳鼻科に受診して粘膜の状態を見てもらうのが良いですね。

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