PM2.5(13/2/18更新)

[PM2.5とは]
大気汚染物質として扱うときに用いる用語です。一般的にマイクロメートル(μm)の大きさの固体や液体の微粒子のことを、粒子状物質(りゅうしじょうぶっしつ、Particulate Matter, PM)と言います。主に燃焼による煤塵、黄砂のような飛散土壌、海塩粒子、工場や建設現場で生じる粉塵等などからなり、このうち粒子径が概ね2.5μm以下のものがPM2.5です。主な発生源はボイラーや焼却炉といったすすや煙を発する工場や、自動車の排ガス。

[体への影響]
PM2.5が健康を害する危険が大きい理由は、より小さな粒子のほうが大きな粒子よりも気管を通過しやすく、肺の奥深いところまで届くためだといわれています。またPM2.5の大半が、排ガスなどに由来する有害ガスが凝集してできた微粒子であるため、大きな粒子よりも有害成分を多く含んでいるからだともいわれます。肺がんのほか、呼吸器や循環器系への影響が懸念されています。
米国でPM2.5が規制化されたきっかけは、大気中の微粒子濃度と死亡者数との相関が調査されたとき、PM2.5濃度がPM10濃度よりも死亡者数と高い相関をしめすと報告されたことです。

[日本の現状]
日本では、「SPM」(suspended particulate matter)とよばれる粒子径10μm以下の微粒子について、1975年から環境基準が設定され大気中のSPM濃度が監視されています。SPMは、米国で規制されているPM10とはその内容が少し異なります。SPM(≒PM6.5 - 7.0)であり、当初から小さな微粒子を採用していたものの、PM2.5に関しては環境基準の設定が遅く、世界で採用され始めた1997年から12年経った2009年にようやく設定されています。
日本の環境基準は1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること。
最近西日本では1日平均の環境基準を上回る日も出ていますが、国は一時的に高い値になっても、全体としてみれば問題の無いレベルだとしています。

[中国の現状]
北京の昨年11月の測定では、1立方メートル当たり500μgを超えるPM2.5を検出しましたが、この数値はWHOの基準の20倍を超えるものでした。基準の枠外であったため“Crazy Bad”と表現して米国大使館が情報を発信したため、北京市民に一大センセーションが巻き起こりました。これを受けて、北京市当局はそのような高度汚染は測定されていないと反発しましたが、北京市民が実感している汚染状況に合致していないとして、市民の間から、当局の情報隠しを疑う声が高まってきていました。米国北京大使館の発表した数値と北京当局のそれとの間の開きは、測定する汚染物質の大きさによるもので、中国当局がこれまでに公表してきたのは、PM10以上の大きな粒子の数値を元にしていました。
中国は昔の日本の高度成長期と同状態であり、北京の大気汚染は深刻で、小さい子供がいる家庭は郊外に住むよう忠告され、その後街中に便利なマンションが建つようになり、北京オリンピック開催に合わせ多くの工場も市内から出ていったので、最近の自動車の急増に伴い再び急速に悪化し始めたようです。

※光化学スモッグ
光化学スモッグは、工場・事業所や自動車などから大気中に排出された、窒素酸化物や炭化水素、 揮発性の有機化合物などが、紫外線を受けて光化学反応を起こして二次的汚染物質を生成することにより、発生します。 このとき生成される物質のうち、酸化性物質のオゾン、アルデヒド、パーオキシ・アセチル・ナイトレート、 過酸化物などの総称を光化学オキシダントといいます。
70年代は、高度成長期以降に発生したさまざまな公害が社会問題になった時期で、 この頃までに、日本は汚染物質を排出する工場や自動車が急激に増えました。 その後、工場の大気汚染物質の排出については、規制が進み、光化学スモッグも発生しにくくなっていきました。 しかし、自動車の排気ガスについては、規制されたものの、十分な改善がされていなかったと指摘する声もあり、最近再び光化学スモッグが増えだした原因としては、紫外線の増加、ヒートアイランド現象の影響、地球温暖化問題でも注目されるオゾン問題が関連しているとする仮説があります。

今北京に住んでいる人から話を聞いたり、白く曇った北京の写真を見たりして、1952年のロンドンスモッグとよく似てると感じます。60年以上前のことです。一番最初の大気汚染で沢山の方が亡くなりました。その後世界では大気汚染について真剣に考え、対策を講じてきました。が、少なくなったとはいえいまだに上述の光化学オキシダント、二酸化炭素排出等、目に見えない物質による大気汚染の問題は解決していません。中国が何も対策していないことについては以前より指摘はされていましたが、こうして初めて目に見えだして、今後どのような対策ができるのか、地下水の汚染に関してもかなり進んでいるようですが…。中国で空気清浄器が飛ぶように売れているという話を聞くと、自分の家の中だけきれいしてもダメなんではないですか?と思わずつっこみたくなったりします。今までの体質は全く変わらないのでしょうか。
今PM2.5が、中国から飛んでくる健康に悪い物質のように思われ、日本各地で測定され、基準値を超えることがないか毎日チェックしてホームページで公開されたりしています。これは…、どこかで見た光景です。ほんの2年ほど前、原子力発電所の事故による放射性物質の漏出の時でしょうか。そこまで深刻ではないかもわかりませんが。
今までも黄砂により非常に体調が悪くなることはありましたが、これは自然現象で仕方がない…とあきらめざるを得なかったのかもしれません。
簡便さと引き換えに汚してしまった空気を元に戻すことは難しいことです。PM2.5は呼吸器や循環器に悪い影響を及ぼすことは明らかなようですが、その他の眼に見えない物質…これらがどのような形で将来の健康に影響するのかは実際のところ分かりません。数値にこだわらずにいたいと思います。

copyright(c) Yamauchi Clinic. all right reseaved.