カンジダ皮膚炎(13/12/9更新)


[カンジダ皮膚炎とは]
粘膜の常在菌であるカビであるカンジダ、とくにカンジダ・アルビカンスが増殖し、皮膚と粘膜に感染して生じます。この菌は普段からごく健康な人の皮膚や便にも見られますが、その状態では炎症などを起こしたりはしません。ただし、皮膚の抵抗力が弱くなると症状を起こします。赤ちゃんの、あたたかくて適度な湿りけのあるおむつの中や、背中、わきの下などはカンジダが繁殖しやすく皮膚炎をおこします。おむつかぶれ、汗疹などがきっかけになります。

[症状]
カンジダ症の特徴的な臨床所見は境界が不鮮明な紅斑で、局面状あるいは周囲に小膿疱が多発します。
部位や年齢により分類されています。
(1)乳児皮膚カンジダ症
乳幼児のこすれる部分に生じるカンジダ感染症です。頻度は全皮膚粘膜カンジダ症患者の12%程度です。
ステロイド薬の外用による局所の免疫能低下、おむつの使用により皮膚が常に湿っていること、および不潔や多汗が原因となります。
中心治癒傾向のない紅斑で、紅斑上および周辺に小膿疱が多発します。おむつかぶれと異なり、皮膚の溝の部分も紅くなります。
あせもやおむつかぶれだと思っていた皮膚炎が、薬をつけてもなかなか治らない場合、カンジダ性皮膚炎である可能性があります。カンジダ性皮膚炎におむつかぶれに使うステロイド剤を使うと、より悪化させてしまいます。
(2)カンジダ性指間びらん症

主に手の指と指の間に生じるカンジダ感染症で、頻度は全皮膚粘膜カンジダ症患者の15%程度です。水仕事をする中年女性に多く、生活習慣が問題とされます。
手の第3指間に生じやすく、辺縁に浸軟した鱗屑(りんせつ)(皮膚表面からはがれかけている角質)が付着する紅斑性の局面を示します。中央部がびらんになる(ただれる)こともあります。かゆみはないか、あっても軽度です。
(3)カンジダ性爪囲爪炎

主に手指の爪およびその周囲の皮膚に生じるカンジダ感染症で、頻度は全皮膚粘膜カンジダ症患者の7%程度です。 水仕事をする中年女性に多く、生活習慣が問題とされます。
手指の爪に多く、爪は基部が白く濁り、その周囲の皮膚に発赤とはれが認められます。
(4)カンジダ性口角炎・口唇炎
口角や唇にただれや亀裂がみられます。口角炎・口唇炎がなかなか治りにくい場合はカンジダ症を併発していることがあります。その場合は舌粘膜や口腔粘膜にもカンジダ症(鵞口瘡)があることが多いようです。

[治療]
皮膚カンジダ症のケアの基本は清潔と乾燥。せっけんでよく洗い、タオルで軽くポンポンとたたくようにして乾燥させます。下痢をしているときは、特におしりを清潔に保ち、下痢止めで下痢を早く止めることも大切です。
治療には主にカンジダに対して抗菌力のある外用薬が使われます。カンジダ性爪囲爪炎、口腔カンジダ症などの病型や難治性・広範囲の皮膚カンジダ症では内服薬を用います。

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