[熱性けいれんとは] 38℃ 以上の高熱に伴って乳幼児期に生ずるけいれん(ひきつけ)で、脳炎や髄膜炎など中枢神経感染症、代謝異常やその他明らかな痙攣の原因となる病気のないものをいいます。小児科領域ではよく遭遇する疾患で、救急車で運ばれることが最も多い病気です。が、多くは短時間でおさまり、反復したとしても約9割の子どもは2回以下の反復にとどまります。初回の発作は、90%は6ヶ月から3歳に起こります。日本の子どもの有病率は高く、7〜8%にのぼります。 [原因] 熱性けいれんの原因ははっきりとはわかっていません。子供の脳は成長過程のため、発熱で脳に異常な電気信号が起こり、痙攣が起こるのではないかと考えられています。遺伝ではありませんが、両親とも小さいとき熱性けいれんの経験があれば、熱性けいれんの発症の可能性は40〜80%位、片親のみ陽性の場合は20〜30%、両親とも熱性けいれんの既往のない場合は約20%と言われています。 ほとんど6歳を過ぎると熱が出てもけいれんはおこさなくなります。 [症状] 全身性で左右対称性のけいれん。発作持続時間は5分以内で発作後はすみやかに意識が回復します。
[家庭での対処法]
[治療] 熱性けいれん懇話会による「熱性けいれんの指導ガイドライン」では、以下の適応3項目のいずれかに該当する場合、熱が出たらすぐに抗けいれん剤(ジアゼパム坐薬:商品名ダイアップ)を投与することが望ましいとしています。
[予後] 1.てんかん発症に関する要注意因子
2.熱性痙攣再発に関する要注意因子
熱性けいれんは、本当によく見られるもので、待合で待っている間や帰宅途中で起こされたり、診察している最中に発作を起こされたこともあります。近所に住んでおられて、今けいれんを起こしました・・・と飛び込んでこられることも数多いです。まあ、確かに今まで元気にしていたお子さんが突然様子がおかしくなって、白目をむいて、時には口から泡も吹いて、ガクガクとしだすわけですから、初めてそういう様子を目の当たりにしたら、パニックになる気持ちもわかります。ビクンビクンとした状態が収まる時には、呼吸が止まるし、みるみる顔色も真っ青になりますから、怖くない訳はないですね。けいれんが起こった時に家にいたら、救急車を呼んでいる間や、医院に受診するまでにおさまることがほとんどなのですが、医院にいる時に起こったら、時間を計ってとりあえず待つわけですが…。保護者の方にしてみれば、何もしてくれないのか、と不安に思われることも多いので、5分以上続く場合は、ついついダイアップを使ったりしています。そうこうしているうちにおさまるので落ち着いたら帰っていただいているのですが、時々一度泣いて目が覚めて大きい発作が治まってもその後のぴくぴくした状態が取れなかったり、インフルエンザが陽性でけいれんが長引くときは、病院に行っていただくこともあります。1才以下の熱性けいれんは細菌性髄膜炎であることも多かったのですが、ワクチンを受けられる方が増えて、これは本当に少なくなったと感じます。 |