髄膜炎

 脳と脊髄をおおう膜に炎症をおこす疾患を髄膜炎といいます。化学物質の刺激や腫瘍などでも髄膜炎は起こりますが、ここでは、病原体が原因によって起こる感染性髄膜炎について述べます。起炎菌によってウイルス性、細菌性、結核性、真菌性に分けられます。小児に多いのはウイルスと細菌によるものです。

ウイルス性髄膜炎
[原因] 夏風邪のエコーウイルス、コクサッキーウイルスが大部分で、次いでおたふくかぜのウイルスです。

[症状] 発熱、頭痛、嘔気、嘔吐、首を曲げると痛がったりします。風邪の症状にひき続いて起こることが多いです。夏に多く、2〜3週間の経過で自然治癒する良性の疾患です。40歳以上の発症はまれです。今みられるのは殆どこれで無菌性髄膜炎ともいわれます。

[治療] 特別な治療は無く安静加療のみで治ります。名前は怖いかもわかりませんが、心配の無い病気です。

細菌性髄膜炎
[原因] 年齢によって起炎菌が異なります。新生児では菌力の弱い大腸菌やB群溶連菌が原因になることが多く、小児期ではインフルエンザ桿菌、肺炎球菌、髄膜炎菌、ブドウ球菌等が原因になります。

[症状] ウイルス性の場合と同じですが、かなり高熱がでます。頭痛も激しいです。中耳炎や副鼻腔炎に引き続いて起こることもあります。ただし乳児の場合は、熱や嘔吐といったはっきりとした症状は出ずに重症化することが多いので、注意を要します。機嫌が悪い、おっぱいやミルクの飲みが悪い、元気が無い、ぐったりしているという症状。首に触ると痛がり、触られるのを嫌がったり、抱っこすると泣いたりします。

[治療] いずれの場合も適切な抗生物質を早く投与しないと治りが悪く、後遺症が残ることもありますので、早期に入院治療が必要になります。怖いのはこちらです。


 髄膜炎という名前を聞いただけで、怖いと思われるかもしれませんが、お子さんの様子をよく見てください。おたふくかぜの髄膜炎などは自然に治るのが殆どです。乳児の髄膜炎は本当に分かりにくいのですが、よく熱を出す子なんだけれども、いつもと違う、いつもの元気がない・・・というお母さんの訴えで髄膜炎を疑う事もあります。おかしいと思うときは早く受診するようにして下さい。

copyright(c) 2004 Yamauchi Clinic. all right reseaved.