結膜炎(ウイルス性急性結膜炎)(06/7/24更新)

咽頭結膜熱が多いので、今週は結膜炎の話をします。結膜炎の中でも感染力の非常に強い結膜炎について述べたいと思います。

     


[原因] 
主な原因はアデノウイルス、エンテロウイルスなどのウイルスです。発症した患者さんの分泌物(涙、眼脂など)が何らかの形(汚染された手で目を擦る、汚染されたタオルで顔を拭く、プールなど)で目に入り、数日の潜伏期の後に発症します。

[症状]
感染力の強い3つのタイプについて説明します。
流行性角結膜炎(はやり目)
アデノウイルス8型(ほかに19型など)という感染力の強いウイルスが原因で、一般に“はやり目”と呼ばれている結膜炎です。ウイルスに感染して1週間前後の潜伏期間を経てから発病します。ほかのウイルス性結膜炎よりも結膜の症状は強く、目ヤニや充血、腫れ、痛みも伴いますが、通常は発病後10日ぐらいで軽くなります。結膜炎が治りかけるころに、角膜(黒目の部分)に点状の小さな濁りが出ることがあります。これはそのうち自然に消えてなくなります。しかし濁りが瞳にかかると、それが消えるまで視力が低下することもあります。また、結膜炎がひどい場合には、あとでドライアイになったり結膜に瘢痕〈はんこん〉を残すこともあります。いずれも眼科でしばらく治療が必要です。
急性出血性結膜炎
潜伏期間が約1日と短いことと、鮮やかな結膜下出血を起こすのが特徴の結膜炎です。発病後1週間程度で治ります。なお、結膜下出血が起きると白目がまっ赤になるので患者さんはビックリして慌てますが、出血はそのうち吸収されるので心配いりません。この結膜炎のウイルスは、1969年にアフリカで初めて発生し世界的な大流行を引き起こしたエンテロウイルス70型と、同時にシンガポールを中心に東南アジアで流行したコクサッキーウイルスA24型があり、比較的新しいウイルスです。今は流行は軽くなってきています。
咽頭結膜熱(前述)

[治療]
一旦発症すると、治癒には通常1〜2週間程度かかります。診断がついた場合、細菌感染や炎症予防のために点眼薬を処方しますが、ウイルスを殺す薬ではないので、症状が劇的に改善する事はありません。休養を十分にとって時間の経過を待つしかありません。治癒するまでは他人に感染させる可能性が高いので集団生活は休む必要があります。感染の危険は、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱では発病から約2週間、急性出血性結膜炎では3〜4日です。発病から日が浅いほど感染の危険が高くなります。この時期には自宅療養をしてください。アデノウイルスは便中に長期間排泄されるので(約1ヶ月)感染期間は長いといわれています。

[予防]
手を洗いましょう !「はやり目」と診断されたら、家族やまわりの人にうつさないように注意する必要があります。ウイルスは、目をこすったりふいたりしたハンカチなどから、他の人にうつる危険があります。感染を予防するためには、まずセッケンと流水で手や指についたウイルスをよく洗い流すことです。「めやに」や涙がでると、つい目を触りたくなります。このような場合はハンカチやタオルではなく、ティッシュペーパーなど使い捨てのものでふき取り、すぐ捨てましょう。


こういう説明をしますと、咽頭結膜炎というのは、発熱を伴う感染力の強い結膜炎、ということになりますね!とにかく結膜炎の症状が強いこと、というのが前提です。プール熱という、誤解されやすい別名があるために、プールに入った後に熱がでれば、この病気、またはプールの始まる時期に熱がでればこの病気、と思っている人が非常に多いです!!
それといつも問題になる、「感染期間」・・・いつまで幼稚園、保育所を休まないといけないか・・・ということです。上述の説明では、発病から2週間休まないといけない!ということになります。でも現実にこれだけの出席停止を実行しているところは何処もないと思います。便中にウイルスが出続けるのは、実際には1ヶ月といわれていますし。ホントならプールも1ヶ月駄目だ!という人もいますが・・・感染力という意味ではここまで厳しくする必要はないのでしょうが。今のところ、解熱後2日間、というのが暗黙の了解、のようです。それと、もう一つの疑問点。アデノウイルス感染症(いろいろあるのですが、この場合は検査キットで診断された、高熱が続き目脂は伴わない浸出性扁桃炎を指します)、も咽頭結膜熱と原因が同じなので、そう診断された場合は同じように解熱後2日間は休まないといけない、というものです。確かにアデノウイルスは便中に長期間排泄されるので、感染期間は長いです。ただ、感染力から考えると、目脂からの感染、という意味合いが少ない分、どちらかというと集団防御というより個人の問題になりますね。今、非常に多いですが、感染力は咽頭結膜熱よりもやや弱いでしょうか??今は検査キットのおかげで、昔は「ただの」夏風邪の一言で済んでいたものが、随分ややこしくなっています。原因がわかるという事は非常に良いことなのですが!アデノ以外のものは今でもやはり「ただの」風邪!です。

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