インフルエンザとサーズ

 インフルエンザが流行するようにサーズが流行するとはとても思えませんでしたが、今年はとりあえずサーズの流行は懸念されるほどではなく、一安心でした。しかし、ウイルスが何処から入ってくるのかが不明ですので、まだ油断は禁物です。ウイルスも撲滅されたわけではありませんし。先週はサーズの症状がインフルエンザと似ているといいましたが、今週は違う点を簡単に説明したいと思います。

[感染時期と感染力] それぞれの病気の経過の中で、どれだけ人にうつす力があるかどうかということ。これに大きな違いがあります。

【インフルエンザとサーズの違い】

  インフルエンザ サーズ
潜伏期 (1〜3日)
低い
(2〜10日)
ほぼない
発病初日 高い 低い
1〜2日経過●
(受診の頃)
 
やや下がる やや上昇する
肺炎発症 低い 高い
(2〜3人への感染力)

 サーズは、肺炎をおこして入院する頃より感染力が非常に強くなりますので、入院を中心とした医療施設で拡がります。インフルエンザは入院する頃には感染力は少なくなりますので、街の中で拡がる市中感染症ということになります。今のところ日本ではサーズが自然発生することはないようですので、ある日突然サーズになる・・・ということは考えにくいですね。海外から持って帰ってくる人があるかもしれないので、呼吸器感染症をみる医療従事者にはサージカルマスクの着用を義務付けているところもあるようです。

 サーズと間違えられないようにインフルエンザワクチンを打ったほうがいいのだ・・・・とあやふやな広報のおかげで、随分誤解されていた方が多いようでした。ワクチンをうてばインフルエンザにかからない、とは言えないので、このあたりのことはもっとしっかり皆が知っておく必要があるでしょう。鼻腔粘膜に接種するタイプの生ワクチンが開発されつつあります。このタイプのものはもっと予防効果がありますので、こちらに期待したいです。

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