細気管支炎

  このところ咳が続いたりひどくなる病気を取り上げています。今週から報告疾患にRSウイルス感染症が追加されました。寒くなってきてからパラパラとそれらしい患者さんがみられ、ちょうどこの病気の話をしようと思っていたところでした。

[病態] 肺胞(41週参照)に近い細い気管支(細気管支)に炎症がおこっているのが、細気管支炎です。炎症が起こると気管支が細くなり、そこに痰がつまって空気の通りが悪くなり、呼吸困難をおこします。生後間もない赤ちゃんから2歳くらいまでの子供が、冬から春にかけてよくかかります。

[原因] 主にRSウイルスが原因となります(約90%)。その他にパラインフルエンザウイルスなどでも起こります。

[症状] 始めは軽い咳、鼻水くらいの症状から始まり、数日で咳がひどくなり、ゼーゼーという音が聞かれるようになり、咳き込んでもどしたり、ミルクが飲めなくなったりしだします。熱が出る事もありますが、熱の有無よりも、呼吸状態の方が問題になります。特に月例の低い赤ちゃんや、未熟児で生まれた赤ちゃん、心肺に基礎疾患のある乳児などは症状が急変することがありますので入院治療が原則になります。それ以外の乳児でも急に悪化して呼吸困難がひどくなることがありますので、症状の変化には注意してください。

[治療] ウイルスが原因ですので治療薬はありません。RSウイルスに関しては、抗体を含んだ予防薬ができています。RSウイルス感染症については次週で又、詳しく述べます。部屋の湿度を上げ、充分な水分と栄養を与え、気管を広げる薬や、痰を取りやすくする薬を服用する。咳は止めてしまうとかえって痰が貯まって、症状が悪くなる事もありますが、咳き込んでもどす症状が強いと小さいお子さんは脱水を起こして益々、痰は出にくくなり、重症になる・・という悪循環になってしまいます。この場合もやはり、点滴したり、入院治療が必要になります。

 この病気は最初は軽い風邪の症状から始まります。呼吸が荒い、速い、ぐったりして泣き声も弱い、飲むことができない、呼吸困難や顔色が悪くなったりする場合は、夜間や休日でも急いで大きい病院に行ってください。

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