かぜ(急性上気道炎)

 かぜが増えてきたといいましたが、かぜとはいったいどういうものをいうのでしょうか? ある単一の原因による独立した疾患ではないので正確にはかぜ症候群といいます。
  先週マイコプラズマ感染症のところで、上気道炎、気管支炎、肺炎をおこす・・・と述べました。呼吸器は上気道(のど、鼻)と下気道(気管支、肺)に分けられます。上気道が炎症を起こしているものを総称して「かぜ」といいます。炎症が起こっている場所を分かりやすく絵にすると下のようになります。

[原因] ほぼ90%がウイルスが原因です。インフルエンザウイルスも含まれます。他には細菌(溶連菌、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌など)、マイコプラズマ、クラミジアなどが原因になります。原因になるものがはっきりする場合は、かぜとは言わず、インフルエンザ、溶連菌感染症、マイコプラズマ感染症、といった表現になります。

[誘因] 疲労やストレスの蓄積、睡眠不足、他の病気による抵抗力の低下、バランスの悪い食事など・・・よく、薄着をしたからかぜをひいた、とか布団から飛び出ていたからかぜをひいた、とか言いますが、これは気温差に対応できないと、体力、抵抗力の低下につながるということなので、普段から気温差に慣れることができれば、予防につながるでしょうか?

[症状] 上気道の炎症になりますので、くしゃみ、鼻水、はなづまり、咽頭痛、咳、発熱などです。症状のある部分を取り出して、鼻炎、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎といった表現をすることもあります。おなかのかぜ・・・という言い方をすることがありますが、これは感染性胃腸炎のことですので、正確にはかぜではないです。うつったりするのでこういう風に表現するほうがわかりやすいのかな?と思います。かぜの菌がおなかに回ったなどと、変な表現をする人もいますが・・・同じ意味で前に述べたように、おたふくかぜはかぜではありませんね

[治療] ウイルスが原因のかぜに効く薬はありません。ハナやのどの痛み、咳といった症状を和らげる薬しかありません。根本治療は無いのですが、上述のように、かぜの中には、インフルエンザ、溶連菌、マイコプラズマのような特別の治療法のあるものも含まれていますので、症状が強かったり、治りにくい時はきちんと受診して、治療を受けないといけないです。細菌が原因になるものでは、子供の場合は中耳炎、肺炎を起こすことも多いですので、そういう事の予防も含めて抗生物質を服用する必要があるでしょう。かぜをこじらせた・・・などという時にはこれらの治療がきちんとされてなかった、ということになると思います。

 一般的にかぜといっても、正確にはいろんなものが含まれます。私としてはかぜ、という病名は余り使いたくないのですが、そういった方が分かりやすい事も多いでしょうか??

 

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