水痘ワクチン今秋に定期接種化(14/1/14更新)

厚生労働省は12月24日、水痘(水ぼうそう)と、高齢者を対象とした成人用肺炎球菌のワクチンを、自治体が行う定期予防接種に加える方針を明らかにしました。予防接種法の施行令を改正し、今年の秋から始めるということです。まだ時期は未定です。今回は水痘とワクチン接種による効果についてを国立感染症研究所のデータ等からまとめてみます。

[アメリカの現状]
米国では1995年から水痘ワクチンが小児期に定期接種化されています。当初は12カ月〜18カ月の間の1回接種と、ハイリスクな場合の追加接種として開始され、2006年には定期の2回目の接種も勧奨されました。ワクチン接種率が90%を超える地域では1995年に比して2005年には水痘の年間発生率が90%以上減少、水痘関連死亡も、定期化前より66%減少、死亡率は50歳以下で74%以上減少、特に10歳以下で約90%減少したことが観察されています。水痘ワクチンの導入前の米国の水痘患者は90%が小児であったことから、水痘の減少や水痘関連死亡の減少はワクチン接種プログラムの実施成功の直接的な成果といえます。さらに、小児期への接種プログラムにより、ハイリスク化する疾患(白血病など)に罹患する前に水痘から守られるようになります。2001年から2007年での接種率向上に伴い、さらに水痘死亡は減少しています。特筆すべきは乳児期(1歳未満)で、2003年以降4年連続で死亡がみられていないこと。1歳未満はワクチン非対象であることを考えると、集団内での高い免疫保有により、乳児がウイルスに曝される機会を減らしたといえます。

[2回接種の必要性]
米国の成績をみると、水痘患者減少に伴いナチュラルブースターの効果が減弱したことによるワクチン接種後罹患(以下ブレークスルー水痘)例が増加してきたことが明らかとなりました。ブレークスルー水痘は発疹数も少なく軽症ですが、感染源となりうる点から問題視されています。この成績を基に、2006年以降米国では水痘ワクチンの2回接種が推奨されています。

[日本の水痘発生状況]
毎年、小児を中心に推定約100万人が発症していますが、この2〜3年は、患者報告数がやや減少しています。2010年までは80%近くの患者が4歳以下でしたが、低年齢層への水痘ワクチン接種の増加を反映してか、その後はその割合が減少傾向にあります。ワクチン未接種で自然罹患した400人に1人以上が入院し、毎年20人弱が死亡していると推定されています。
任意接種である水痘ワクチンの接種率は正確に把握されていませんが、出生数に対するワクチン出荷量を基に、30〜40%程度と考えられてきました。この2〜3年、ワクチン接種に対する意識の高まり、地方自治体の接種費用助成の広がりから、生産量がこれまでの2倍程度に増加していますが、欧米での状況を受けて2回接種が拡大しているため、生産量に比例して接種率がその分増えているというわけではないようです。また、地域により出生数に対するワクチンの出荷量に大きな差があります。

[2回接種スケジュール]
日本では、まずは低年齢層の水痘患者数が減少することが重要です。そのためには、予防効果を確実にするための2 回接種が必要となります。従って、1歳時に1回目のワクチンを接種、その後2回目は3カ月以上あけて2歳未満に接種することが望ましいとされています。
<水痘ワクチンの接種対象者・接種方法のイメージ>
【対象年齢】 生後12月から生後36月に至るまでの間にある者
【接種方法】 乾燥弱毒生水痘ワクチンを使用し、合計2回皮下に注射する。接種間隔は、3月以上おくものとし、接種量は毎回0.5ミリリットルとする。
【予防接種を受けることが適当でない者】※発熱や急性疾患などワクチン全般に共通するもの以外、 特記事項なし
【標準的な接種期間】 生後12月以降なるべく早期に初回接種の機会を確保した後、初回接種終了後6月から12月に至るまでの間隔をおいて1回行うこと

今年の春から、という噂もありましたが、結局秋…10月頃になりそうです。これもおそらく突然2.3週前ほどに現場に知らされる形になると思われます。水ぼうそうの流行を抑える、という事を考えると、1才になられた方は、秋まで待たずに少なくとも1回は有料になりますが水痘ワクチンを受けて頂く方が良いと思います。

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