インフルエンザワクチンについて(09/9/7更新)

 例年、季節性のインフルエンザワクチンは10月1日より接種予約を開始しています。今年もその予定ですが、新型インフルエンザワクチンの生産を途中から始めたので、ワクチンの数は例年の7、,8割しか入らない、ということです。もうすでに沢山の方からワクチン接種についての問い合わせがあります。が、申し訳ありませんが新型インフルエンザワクチンの接種方法については全くわかっていません。
  そこで、インフルエンザワクチンについて考えなおしてみたいと思います。

  今年の3月に、2年前にも行いましたが、同じ近隣の5つの小学校の保護者の方を対象に、インフルエンザワクチン接種とインフルエンザの罹患状況についてアンケートを実施させていただきました。遅くなりましたが、簡単に報告させて頂きます。2年前以上にインフルエンザワクチンの予防率は悪くなっています。むしろ打っても打たなくても同じ!でした。

  接種率は2年前より増えています(43.5%→56.7%)。低学年と高学年の差が少なくなりました。1回接種者が増えて、2回接種者の倍以上になっています。

  ワクチン接種の有無と未感染率には差がありませんでした。今年の流行は学校間で非常に差が大きかったですが、ワクチン接種による差ではありませんでした。接種しているに関わらず感染している方が非常に多かったです。又A型2種類とB型、3種類全てのウイルスの流行があったので、2回感染者が目立ったのも特徴です。

  感染率はA型、B型による差はありませんでした。流行した学校とそうでない学校と感染者数が非常に大きいので、なべてみると本当に差が無いと思います。

  今回は症状についても一緒にアンケートをとったのでまとめを載せます。

☆ワクチン接種の有無と有熱期間の調査では、ワクチン接種により、有意差ありで有熱期間が短かった。
☆ワクチン接種と最高体温の調査では、有意差は認められなかったものの、接種により低い傾向はみられた。
☆抗インフルエンザ薬の使用の有無と有熱期間の調査では、抗ウイルス薬の使用により、有意差ありで有熱期間が短かった。
☆抗インフルエンザ薬の使用の有無と最高体温の調査では、明らかな差は認められなかった。

  母数が少なくなるため、A・B型別、ワクチン接種の有無、抗インフルエンザ薬使用の有無と細かく分けての分析はできませんでした。有意差あり、というデータは出ていますが、この差は本当に僅差です。

  この結果をみられて皆さんはどう考えられますか?ワクチンをうけていなくて感染していない方の数が、思いの他多いです。
  1998年にインフルエンザが大流行し、小児のインフルエンザ脳症のことが話題にされて以来、それまでは効果が無い、ということで打たれなくなっていたインフルエンザワクチンの接種を始めました。新型インフルエンザのパンデミックの予想から、その新型のワクチンを作るために、インフルエンザワクチンを大量に作るラインが必要だということで、大々的なキャンペーンがはられ、インフルエンザワクチンを接種される方の数は年々増え続けてきました。私はいつも思いますが、ワクチンを受けていてインフルエンザにかかる人が多くなるのは、ワクチンを受ける人の数が年々多くなっているからだけなのだと!つまりはインフルエンザワクチンは予防という意味では全く効果がないのだと!ワクチンを受けたからかからなかったのではなく、受けなくてもかからなかったのでしょう・・・。
  いつも重症化するのを防ぐ為に打ってください、と言っていますが、これも本当にどれだけ重症化するのを防げているのかよくわかりません・・・。症状は多少は軽くはなりますが、ごく僅かな差、しかありません。

  今シーズン、新型インフルエンザが発生して、今後の流行の中心はこの新型インフルエンザウイルスになります。従来の季節性インフルエンザワクチンは全く新型には効果はありません。政府は、季節性インフルエンザでも亡くなる方はあるから、季節性インフルエンザの接種も必要だと言いますが、私は今シーズンに今までのインフルエンザウイルスがどれだけ流行するのか!!と思います。非常にきれいに2年に1回流行しているB型は、2008/2009シーズンに流行ったので、流行するとは思えません。2種類のうちのAソ連型(AHI亜型)はもはや新型に取って変わられるでしょう。ワクチンを打つ意味は残るA香港型(AH3亜型)に対するものだけです。今の新型のウイルスの抗体を持つ人が殆ど無くなるほど流行するまで、このA香港型の流行はあまり無いのでは??と考えられます。もともと予防効果の無いワクチン、ワクチン数が少なくなるのに、あえて打つ必要はないのでは?と思います。

  さて、新型ワクチンについてですが・・・。数が全く足りないのは周知のこと。10月末から優先順に打っていく、と厚労省の弁ですが・・・。打つ方法は?ワクチンは政府買い上げで1本10人分のものしか作っていない、と聞いています。集団接種する?我々のような一般開業医が打つのか?何も聞いていません。色々な方から沢山の問い合わせがありますが、本当に全く分かっていません。実際のところ、季節性のインフルエンザワクチンと新型インフルエンザワクチンの両方を接種することは物理的に個人の医院では不可能です。とても時間が足りません!!ウチの医院で本当に打てるとは思えません・・・。
  ワクチンの数が余りに足りないので、輸入する、と言っていますが、打てない人に不公平にならないように言っているだけで、実現するとは思えませんし、例え輸入できても輸入した頃にはすでに多くの方がかかっていて、必要なくなるのでは?
  優先順一位の医療機関、これも医療機関従事者はいったいどこまでを指すのでしょうか?重症者を診る病院などはともかく、我々開業医まで?言っている間にかかりそうで、かかるんなら先にかかってしまった方が楽だな〜というのが最近の本音です。基礎疾患の無いものにとっては、まあいつものインフルエンザです。そもそも新型のワクチンもどこまで効果があるのでしょうね?
  Hibワクチンの接種が日本で認められるようになるまで一体何年かかったことか!それをインフルエンザに関しては、輸入して即、接種です。いつもうるさいワクチン反対論者の声が全く聞こえてきません。これは何故でしょうか?何か起こった後でまた色々と議論が飛び出すのでしょうか?

  あまりに国の対応がイイカゲンなので、愚痴に近いことを書いてしまいました。日本人はどうもマスコミに弱く、5月のインフルエンザ騒ぎで国中マスクだらけになったように、今回も又、新型インフルエンザワクチンが足りないとなるとパニックになるのでは?と心配しています。新型が打てないのならせめて季節性だけでも?とか・・・。で、それも足りないとなるとそれはそれで、又皆さん打ちたくなるみたいです・・・。
  それが証拠に、9月からインフルエンザワクチンの予約を始めている医療機関では信じられない多数の申し込みがあり、あっという間に1200人からの予約がうまってしまったそうです・・・。
  皆様方、どうか冷静にインフルエンザワクチンが本当に必要かどうか判断して下さいね。基礎疾患のない元気なお子さんや若いご両親には基本的には必要ありません!

  とはいえ、新型インフルエンザをまったく甘く見ているわけではありません。脳症の報告も多いですし、特に問題なのは若い方やお子さんで、喘息などの基礎疾患のある方が多いようですが、突然に呼吸困難をきたす例があることです。この原因は直接ウイルスによるものと言われていますが、よく分かっていません。インフルエンザになったら、むやみになった、ということだけを心配するのではなく、お子さんの意識状態や、呼吸の様子をよく観察して下さいね。

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