日本脳炎ワクチンについて(09/6/8更新)

  新しい日本脳炎ワクチンが厚労省の承認を受けて、やっと発売されました。積極的勧奨差し控えの声明が出されてから4年が経ちました。長かったですね。ただしこの新しいワクチンも、検定に時間がかかったため、充分な量が供給されないようです。

  財団法人阪大微生物病研究会は日本脳炎ワクチン(北京株)(商品名:日本脳炎ワクチン「ビケン」)を市販していますが、これまでの日本脳炎ワクチンは、材料にマウスを使用していたことから、マウス脳由来成分の残存を完全に否定できないことや動物愛護等の問題が指摘されていました。
乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン「ジェービックVR」は、欧米において不活化ポリオワクチンや狂犬病ワクチンの製造用細胞として実績のあるVero 細胞(アフリカミドリザル腎臓由来株化細胞)を材料として用いることで、従来の問題点を解決することができました。また本剤は、チメロサール等の保存剤を一切使用しておりません。日本脳炎の予防薬として、わが国の公衆衛生に貢献できるものと考えられます。

  日本脳炎ウイルスの増幅動物であるブタにおける感染状況(日本脳炎ウイルスに対する免疫(抗体)保有率-感染症流行予測調査より-)をみると、西日本を中心に毎年広い地域で抗体陽性のブタが確認されています(図2)。つまり、まだ国内では、西日本を中心に日本脳炎ウイルスに感染しているブタが多数存在することになります。
また、図3に示したように、ブタが日本脳炎ウイルスの感染を受け始める時期は、6〜7月頃に、九州、中国、四国地方から始まり、8〜9月にかけてその地域が広がっていくのがわかります。

  京都では日本脳炎の患者発生数はあまり多くはありません。新しいワクチンは供給量が非常に少ないので、これもまた、Hibワクチンのように、1ヶ月1医療機関10本!というように聞いています。全くワクチンを受けておられない方は初回接種は2回必要ですので、5人分・・、ということになります。従って1期の追加よりも、全く免疫の無い方優先で打つように・・、というふうに言われています。
  打つかどうするかは数が少ないために非常に難しい問題です。

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