定期接種と任意接種について
 定期接種は予防接種法で市区町村長の責任で接種するように定められているものです。ポリオ、三種混合、麻疹、風疹、日本脳炎、結核予防法で決められたBCGが含まれます。それ以外のものが任意接種で、日本ではおたふくかぜ、水ぼうそう、インフルエンザがあります。定期接種は無料か、わずかな自己負担金のみで受けられますが、任意接種は有料で、各医療機関が設定した金額になります。
 おたふくかぜは髄膜炎、難聴などの合併症があります。ワクチンの副反応としては、以前、麻疹・風疹との新三種混合ワクチン接種時に、髄膜炎の発症等の問題が起こった結果、中止になってしまいましたが、おたふくかぜ単独でうつ場合では、まずそういった副反応は起こりません。限りなく0に近い頻度です。耳下腺部の腫脹、痛み、発熱などが見られることはありますが、これも頻度は少ないです。水ぼうそうは最近、抗ウイルス薬がありますので、重症にはなりません。集団接種を始める前に、あえて感染している子供さんと接触してうつしてもらう・・・という保護者の方もおられるでしょう。しかし、皮膚を痒がって、後が残ったりもしますし、最近は受けられる方の数は増えています。問題は感染予防力ですが、麻疹ワクチンが100%近い予防力があるのに対し、おたふくかぜで、80〜90%、水ぼうそうは70%くらいです。接種してもかかる可能性はあります。おたふくかぜの場合は、免疫の付かない子供さんがありますが、水ぼうそうは抗体価が落ちてくるようで、かかっても確実に軽くは済みます。こういったことを踏まえて、受けるかどうかは、保護者の方が決めていただくことになります。いずれにしても、子供の病気が大人になってからかかると、重症になることが多いので、思春期までにかからなかったらこれらのワクチンは受けておかれるのがいいでしょう。私の個人的な意見では、抗体保有者が増えると、病気の絶滅につながるので、受けられる方の数が増えるのは望ましいことだと考えます。

インフルエンザワクチンについて

  現行のインフルエンザワクチンは血液中の抗体を作るタイプのものですので、感染するのを防ぐことは出来ません。ウイルス血症を起こして重症になるのを防ぐタイプのワクチンです。ワクチンを打っていると、普通の風邪の症状くらいで治ってしまいます。最近問題になっているインフルエンザ脳症は発症原因がまだ良く分かっていませんので、ワクチンを打っていての死亡例はあるようです。起こす頻度は少なくてすむのでは?と思いますが・・・。ワクチンの副反応は改良により、かなり少なくなっています。接種部位の腫脹と、発熱(1〜2日以内)は、比較的良くみられます。接種回数が増えると腫脹が強くなる傾向があるようです。
 最近、インフルエンザの接種率は急激に増えています。平成13年から65歳以上の高齢者に対しての公費負担での接種が始まっており、インフルエンザワクチンを受けましょう!という風潮になっています。ただ、先程も述べたように、基本的には重症化を防ぐワクチンですので、小学校高学年から若い元気な世代では、打つ必要は無いかと思います。保護者の世代でも同じですが、自分がかかってもゆっくり休んでいられない・・という理由で受けられる方は多いですが!!1歳以下の乳児の接種に関しては、一人目の場合や、集団生活をしていなければ、かかる可能性は非常に少ないので、打つかどうかはよく相談してください。年齢が小さいから副反応が大きい、ということはありませんが・・・。親がかかればうつる可能性は強いですが、インフルエンザは特効薬が出来ましたので、かかっても早めに薬を飲めば、ワクチンは必要ないくらい軽くすみます。平成15年の流行時にはこの特効薬が品切れになってしまって、処方出来ないという事態が起こりましたが。診断も本当に早くできるようになりました。逆にあまり早すぎると、インフルエンザであっても、陰性になってしまうことがあるようです 。
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