予防接種はなぜ必要でしょうか?
 抗生物質のところでも述べましたが、ウイルスに効くお薬は少ないです。
 かかっても治療の方法がなく、重症になったり合併症の多い病気に対しては、あらかじめワクチンを接種して免疫を作り、病気にかからないように予防したり、かかっても軽くするために予防接種を受ける必要があります。
 ただ、予防接種の副反応はゼロではありません。昔はいろんな副反応がでて、死亡例もありましたし、後遺症が残った例もありました。最近はワクチンも改良されていますので、まず、重症な副反応が出ることは殆ど無いと考えてよいかと思います。それでも、熱や発疹が出たりすることはあるかもしれません。接種後30分以内に何かおかしい症状が出るようでしたら、ワクチンとの関係があると思いますが、それ以後の症状については、ワクチンが原因かどうか判断できないことも多いようです。接種部位の腫脹はワクチンの種類によっては(三種混合、インフルエンザなど)、強いものもあります。今後は、更に副反応の少ない改良型に変えられるでしょう。
 最近は予防接種を受けることは義務ではありません。ただ、ワクチンのおかげで、地球上から痘瘡は消滅しました。(各国がサンプルとして保有しているもの意外は!・・・)ポリオは絶滅まであと1歩!というところです。日本脳炎も激減しました。狂犬病も野生動物でまれにみられる以外には、ここ何十年も発症していません。ワクチン接種により抗体保有者が増えれば、ウイルスは生きる場を失って、死滅していきます。 風疹の予防接種を1歳からの男女全員を対象に打ち始めてからは、平成9年の流行を最後に大きな流行は見られなくなりました。残念ながら麻疹(はしか)に関しては、日本は先進国の中でも、接種後進国です。大きい流行はみられませんが、アメリカでは年間数10人の発症であるのに対し、日本では年間約10万人の発症があり、約50人の死亡者がでています。比較的かかる可能性の強い感染症の中では、麻疹は重い病気です。入院が必要になることも多いですので、これを読まれている方の中で、お子さんの接種がまだの方は、是非急いで受けるようにして下さい。最近は麻疹の流行の減少から、抗体価が下がり、終生免疫が得られなくなってきているので、2回接種が望ましいとも考えられています。母親からの抗体が低下する9〜10ヶ月以降の乳児の感染も増えており、保育所などの集団生活をしている場合は、1歳以下での接種も望まれます。この場合は公費負担からは外れますので、自己負担での接種ということになりますが・・・
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