環軸椎回旋位固定(2016/4/18更新)

[環軸椎回旋位固定とは]
環軸椎回旋位固定とは、首が左右どちらかに傾いていたり、傾いたまま動かせなくなる斜頚と呼ばれる疾患の一種で、症状としては首の傾きの他、無理に動かそうとすることで非常に強い痛みを伴います。

[原因]
10歳以下のお子さんがなりやすいです。
首の1番目の骨は環椎と呼ばれ、2番目は軸椎と呼ばれており、この二つの関節が動くことによって首が動かされます。が、この環軸関節が亜脱臼をしてロックがかかった状態になったものが環軸椎回旋位固定です。運動の軸となる歯突起は 環椎と連絡のある靭帯によって取り囲まれています。 ところが子どもさんの場合、 この歯突起の形状が未成熟であり、 さらに周囲の組織が柔らかいので亜脱臼しやすい状態にあります。なので一旦ロックした状態になると、靭帯が緊張し歯突起が動かなくなってしまいます。
強い衝撃によってなるということではなく、 ほんの些細なことで起こります。
多くは原因不明で、 10%ほどはのどの感染症に関連しておこるものがあるようです。

[症状]
軽微な外傷などをきっかけに起きます。子どもが急に首の痛みを訴え、同時に斜頚を呈し、首をほとんど動かせない状態となります。風邪症状が先行している場合もあります。
・首が曲がったまま戻らない。
・首を動かせない。
・腕の感覚が鈍くなったりする。
・無理に動かそうとすると痛みを生じる。

[治療と予後]
早期の環軸椎回旋位固定の場合は、ほとんどが数日から10日程で自然治癒します。治療では、頚椎カラーを用いた装具固定や、喉の炎症が要因とされる場合には抗生剤を使用する薬物治療が行われます。1週間以上たっても治癒しない場合には、牽引治療を行うこともあります。関節変形がみられ整復が困難な場合や神経症状を伴う場合には手術を行うこともあります。


子どもさんが突然首が痛いと言って曲がったままの状態になり、動かせなくなるので、親御さんも非常に不安になり来院されます。小児科ではレントゲンを撮ることができないのですが、ほぼこの状態であることは間違いがないと思われます。痛みのせいで全く動けず、寝たままで食べることも飲むこともできなかったので入院されたお子さんもあります。1週間ぐらいで良くはなられましたが。 処置に至るまで長い時間がかかってしまうと、 筋肉や靭帯の緊張が強まるので、 なかなか治りにくくなります。
お子さんの首が曲がって元に戻らない場合は、整形外科に早い目に受診されることをお勧めします。

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