重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome: SFTS)について
(2015/6/29更新)

[重症熱性血小板減少症候群( SFTS)とは]
中国で2009年頃からこの症候群が報告されるようになり、2011年に初めて特定された、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルス(SFTSウイルス)に感染することによって引き起こされる病気です。
2013年1月に国内の患者が初めて確認されました。これまでに患者の発生したのは、九州・四国・中国・近畿地方です。

[症状]
6日〜2週間の潜伏期を経て、発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が多くの症例で認められ、その他頭痛、筋肉痛、意識障害や失語などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。致死率は6.3〜30%と報告されています。
中国では、重症熱性血小板減少症候群の患者の年齢層は30〜80 歳代で、全患者の75%が50 歳以上との報告があります。ただし、患者の年齢構成については、生物学的・医学的要因だけではなく、社会的な要因(発生地域の人口構成、職業構成、医療体制など)の影響も受けると考えられます。日本でこれまでに確認されたSFTS 患者の年齢層は、40〜90 歳代で、全患者の約95%が50 歳以上となっています。

[感染経路]
多くの場合、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染します。このため、患者はマダニの活動期である春から秋にかけて発生しています。
全てのマダニがSFTS ウイルスを保有しているわけではありません。中国の調査では、患者が発生している地域で捕まえたフタトゲチマダニの数%からSFTSウイルスの遺伝子が見つかったとの報告があります。日本国内では、これまでに、複数のマダニ種(フタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニ)からSFTS ウイルスの遺伝子が検出されていますが、保有率など、より詳細な実態について、現在、調査を進めているところです。


フタトゲチマダニ

[治療]
有効な抗ウイルス薬等の特異的な治療法はなく、対症療法が主体になります。

[感染しないためには]
マダニに咬まれないことが重要です。
★農作業やレジャーなどで野山、畑、草むらなど、マダニが多く生息する場所に入る場合は、肌を出さないよう、長袖、長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋等を着用しましょう。
★地面に直接寝転んだり、腰を下ろしたりせず、敷物やイスを使いましょう。
★帰宅後は上着等を家の外で脱ぎ、すぐに入浴してマダニに咬まれていないか確認し、新しい服に着替えましょう。
★飼い犬等にマダニが付着する可能性があるため、散歩から帰ったらブラッシングしてマダニが付いていないか確認し、犬小屋等はよく掃除をして常に清潔に保ちましょう。

[感染者数]

2015年5月31日現在、感染症発生動向調査では122人のSFTS患者が報告されており、男女比は51:71で、年齢中央値は73歳でした。 5-8月の発症例が多く、西日本の16県から報告されています。なお、感染症発生動向調査で届出が求められる以前に診断された4人の患者は報告されていません。
6月11日に 北九州市が、福岡県京都郡在住の女児(5)がマダニを介して感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症したと発表致しました。10歳以下では日本で初めてです。今は快方に向かっているという事です。
また6月16日、京都府下、丹後保健所に京都では初めてのSFTSの患者さんの届け出がありました。80歳女性、現在入院加療中で快方に向かっているという事です。


これも感染する機会はさほど多くはないであろう病気でありますが…。誰でも感染する可能性はないことはないので、ただでさえ草むらで虫に刺されることは多いので、肌を出さないように気を付けた方が良いでしょうね。

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