腎性糖尿(14/6/30更新)

[腎性糖尿とは]
通常、尿中に糖分(ブドウ糖)が含まれることはありませんが、糖尿病などによって血糖値が概ね170mg/dl以上になると、尿中にも糖分が出てくるようになります。が、血糖は高くないにもかかわらず、尿に糖が排出されることがあります。これを腎性糖尿と呼んで、糖尿病による尿糖と区別しています。

[原因]
糖尿病でない方では、通常血糖は食後でも140r/dlを超えませんから、尿糖は出ないことになります。ところが、ブドウ糖を血液中に汲み上げるポンプの力が弱い方は血糖が正常でもブドウ糖が尿に排泄されてしまいます。通常は、生まれつき(遺伝的に)にポンプの働きが弱い場合が多いようです。
まれに尿細管を主に障害する腎臓病(尿細管障害や間質性腎炎など)が尿糖の原因になることもあります。

[診断]
食後2時間血糖値が140mg/dL未満、HbA1c正常値であれば腎性糖尿と判断できます。

[治療と予後]
糖尿病のように、症状が出たり、体に障害を及ぼしたりすることはありませんし、腎性糖尿のある方が今後糖尿病になる確率が高いわけでもありません。特に治療法もありません。


尿糖は、お子さんの場合で、飴をたくさん食べたとか、糖分を非常に沢山摂った後で検査をすると陽性になることはあります。普通の状態では再検すれば皆さん尿糖は陰性になっています。腎性糖尿のある方は、学校の検尿で、前日夜に糖分の摂取が多かった時に陽性になることがよくあるので、再検時には摂りすぎないように気を付けたりされているようです。特に腎臓の機能に問題があるわけではありませんので、心配する必要のない病態であります。

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