臍ヘルニア(13/5/27更新)

[臍ヘルニアとは]
生後間もなくへその緒が取れた後に、おへそがとびだしてくる状態を臍(さい)ヘルニアと呼びます。生まれて間もない時期、おへその下にある筋肉が完全に閉じていないために、泣いたり力んだりしてお腹に圧力が加わり、筋肉のすきまから腸が飛び出してきた状態。このヘルニアは5〜10人に一人の割合でみられ、生後3ヶ月ころまで大きくなり、ひどくなる場合は直径が3cm以上にもなることがあります。しかしほとんどのヘルニアはおなかの筋肉が発育してくる1歳頃までに80%、2歳までに90%くらいは自然に治ります。

[症状]
臍が出た部分には腸が入っているので、触れると柔らかく、少し押さえるとグジュグジュとした感じがして、お腹の中に戻っていきます。しかし、泣くと、お腹の圧が高くなり、また、腸が出た臍ヘルニアになってしまいます。このように、出たり引っ込んだりしています。破れそうに見えても破れることはないです。

[治療]
昔はテープにより左右の皮膚をよせてヘルニアが出ないようにする方法がありました。この方法は確かにヘルニアを早期に治す効果がありましたが、昔のテープや粘着剤の粗悪さから、皮膚炎を起こすことが多く、徐々に行われなくなりました。上述のようにほとんどが自然治癒するので最近は何もしないようになっています。
ただ、ヘルニア門が大きい場合(2p以上)はヘルニアの増大により「おへそ」が膨隆し、皮膚にたるみが生じ、そのため自然治癒後に「おへそ」の醜形を残すこと、さらにその醜形に対して美容的観点から手術を要することなど多くの問題がありました。そこで「おへそ」に醜形を残さず、早期に自然治癒を促すことを目的に、早い時期からスポンジ圧迫による保存的治療法が行われるようになってきました。

[ヘルニア圧迫固定法]
綿球やスポンジで、おへそを元の状態に戻したままかぶれにくいテープ(透明のフィルム状のテープ)によって押さえ込んでしまうという方法。このフィルム状のテープは、水に濡れても中に水分を通さず、内側の汗は蒸発するようにできています。
自宅では3日毎にテープとスポンジを交換します。毎日お風呂に入りますが、3日目の交換時は入浴前にフィルムをはずし、「おへそ」をきれいに洗います。接触性皮膚炎が生じたときは軽快するまで一時中止します。軽快後、再度始めます。

効果
1. ヘルニア門の小さい場合は1年位で自然に治まりますが、圧迫するとへこむのが早くなります。2 ヶ月で70%、3 ヶ月で90%が改善すると言われています。
2. ヘルニア門の大きい場合も生後3ヶ月未満で治療開始 したものは96%以上の効果があります。3〜4ヶ月で67%、ただし4ヶ月以上で始めた場合の効果は0%です。
通常、治療開始から1ヶ月で20%、2ヶ月で50%、3ヶ月以内に85〜90%が治癒し、7ヶ月までに95〜100%の例で治療効果が期待できます。サイズの大きな臍ヘルニアにはかなり有効な方法です。
3. 見た目がよい状態で治ると言われています。
4. 良くならずに手術になる際に、手術が比較的簡単にすむことがわかっています。

問題点
皮膚がかぶれる可能性があります。テープの粘着剤の質、皮膚に掛けるテンションの強さ、児の皮膚の過敏性によってかぶれやすさが違ってきますが、最近のテープでは比較的かぶれにくいようになってきています。


当院では最近、この臍ヘルニアの圧迫固定法を始めました。大きい臍ヘルニアのある方はご相談下さい。
1歳を過ぎても閉じない場合や、閉じた場合でも、余剰皮膚が気になる場合は、小児外科を受診して下さい。
いずれの場合も、通常2歳頃に手術を行うことが多いようです。

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