粘液のう胞(12/12/3更新)

[粘液のう胞とは]
唇や舌、頬の粘膜の下には、唾液を分泌するたくさんの小唾液腺(しょうだえきせん)があります。米粒くらいの大きさですが、口のなかの粘膜をいつも湿らせておく役目があります。粘液嚢胞はこの小唾液腺からの分泌がうまく行われずに、周囲の組織中に唾液がたまって生じる嚢胞です。

粘液のう胞

[原因]
小唾液腺で作られた唾液は導管という管を通って出てきますが、導管が何らかの理由で傷つくと、唾液が周囲の組織に漏れ出して溜まっていきます。導管が傷ついたり詰まったりする原因はよくわかっていません。一般的には、噛んで傷つけたり、矯正器具や義歯の金具で傷つくことが理由として挙げられています。また、怪我をして歯が欠けたり、虫歯で穴があいた場合も考えられます。

[好発年齢と好発場所]
年齢的には10歳未満から30歳代までにほぼ均等して多く、50歳以後の発症は少ないようです。
のう胞が真ん中(正中)に発生することは珍しく、左右のどちらかにできるのが一般的です。また、上唇にできることはほとんどありません。

[症状]
粘液のう胞は直径5mm前後の半丘状の粘膜の膨らみで、粘膜と同程度の柔らかさです。色も周囲の粘膜と似た色で、粘膜の表面や周囲には異常が見られません。また、粘膜が傷ついた直後でない限り、痛みもありません。
しかし、何かの拍子にのう胞部分の粘膜が傷つくと、のう胞が破れて中の唾液が出てきます。一旦しぼんで小さくなったのう胞は再び大きくなりますが、自然に治ることはほとんどなく、傷ついた後はしばらく痛む場合もあります。
また、のう胞が何度もつぶれて再び大きくなることを繰り返すと、徐々に表面が硬く白っぽくなります。やがてのう胞が直径1cmほどに成長すると、表面の粘膜は薄く、色は青紫色がかってやや暗くなり、内部が透けて血管が見える場合もあります。

[治療]
小さなものは自然に破れて治りますが、大きいものでは切開が必要となるため口腔外科の受診が必要です。
粘液のう胞は再発をくり返すことがあります。

口内炎ははっきりとウイルスが原因と分かっている場合を除いて、一般的にアフタといって、浅い潰瘍になることが多いです。水疱になり、治りにくいものは、まずこの粘液のう胞であると思われます。似ているものに慢性刺激による肉芽(にくげ)というものがあるのですが、この場合は水がたまったような硬さではなく、自然に治っていくようです。子どもさんの場合は、まず口腔内のガンはないと考えて良いと思います。
殆ど外科的な切除が必要になるようですので、歯科、または口腔外科の受診をして下さい。

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