マイコプラズマ感染症の迅速診断(12/11/19更新)

1)マイコプラズマ抗体の検出:血清IgM抗体検出法(イムノカードマイコプラズマ抗体)
[検査の原理]
先週お話した迅速検査はいずれも抗原(=ウイルスや細菌)を検出するのですが、 マイコプラズマの場合はマイコプラズマに対する早期抗体(=IgM抗体)を検出します。微量(80μl)の血清検体を用いてマイコプラズマ特異的IgM 抗体をキットで簡便に検出する方法です。血液検査が必要です。

[診断の有用性]
マイコプラズマ感染症においては、迅速診断と早期診断は別の概念として捉えなければなりません。肺炎の発症からIgM 抗体の産生までには時間差があるので、早期診断は困難です。成人ではIgM抗体の反応が非常に弱いかほとんどないという問題点があり、一方小児では抗体反応が強く長期に持続するため、実際の感染から長期にわたり、IgM 抗体が検出され続ける場合があります。
感度も特異度もそれほど高くなく、偽陰性や偽陽性が多いようです。疑った場合、スクリーニング検査として使用することが望ましいです。

2)マイコプラズマ核酸検出(lamp法)
[検査の原理]
詳細は省きますが、遺伝子増幅技術であるLAMP 法により、咽頭または鼻咽頭ぬぐい液や喀痰中のマイコプラズマDNA を検出するものです。

[診断の有用性]
マイコプラズマは気管支等の下気道で増殖するので、咽頭には微量しか存在しません。が、この検査はマイコプラズマ遺伝子を検出するもので、検体採取から診断まで2時間以内に終了し、マイコプラズマ・ニューモニエの菌のみを得意的に検出することが可能です。

表1

[今までの検査との違い]
図1

この検査は昨年の10月から保険収載されましたので、保険適応できます。血液検査も必要がないし、今までの方法よりも早く診断が確定できて良いです。が、迅速診断とはいえ、インフルエンザや溶連菌の検査のようにその場ですく結果が出るわけではありません。検査会社に受注しないといけませんので、やはり早くても2日はかかるようです。また、当院がいつも依頼している会社が、この方法を採用しているかどうかは、まだ確認できておりません。まだ一般的ではないようです。

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