心雑音(12/7/2更新)

[心雑音とは]
心雑音とは、字のごとく心臓の雑音のことです。すなわち、心臓の中を血液が流れる時に生じる異常な音のことです。正常な心臓では発生しない異常粗雑な音です。 
心臓は収縮したり拡張したりすることによって、ポンプの様な作用で血液を全身に送っています。身体を流れる全ての血液は心臓にかえり、心臓から出て行きます。心臓の中には、血液が心臓を通る時に逆流しないように、閉じたり開いたりする弁が四つあります。心臓は四つの部屋からできており、各部屋の出口に弁がついています。心雑音の多くは、血液がこの弁を通る時に生じます。
乳幼児期の心雑音には、いろいろな心臓、循環器疾患から、聴診される場合があります。心雑音が聞こえ、そこから判断されて、疾患を診断される例も少なくはありません。

[機能性(無害性)心雑音]
心疾患がないのに、心雑音を認めることが小児期ではきわめて多いです。心臓を流れる血流のスピードは結構早いので、その流れが心臓や血管の壁に当たる音や、共鳴する音が「雑音」として聞かれる場合があります。このような雑音は「機能性(無害性)心雑音」と呼ばれ、病的なものではありません。
子どもの心臓はおとなより血液を押し出す力が強く、血流速度が速いことなどから、左心室から大動脈弁を通して大動脈へと血液を押し出すときに乱流が生じて雑音が出ると考えられます。静かな部屋で注意深く聞くと、14歳以下の子どものほとんどで、これが聞こえるとの報告もあります。寝た状態で聴診したほうがよく聞こえ、興奮していたり、熱があるときや運動した後などでは聞こえやすくなります。また、貧血があったり、脈がゆっくりのときも大きく聞こえます。

[検査と診断]
害のない音は、心臓が収縮するときに聞こえる弦をはじくような音なので、雑音の性質でだいたい見当がつくのですが、はっきりしない時は、心臓の超音波検査が必要です。程度の軽い先天性の心疾患は、乳児健診時の心臓の雑音や学校健診時の心電図によって初めて見つかることもあります。

心臓の音を聞いた時に雑音が聞こえることは非常に多いので、私はほとんど保護者の方に雑音が聞こえる、と口にすることはありません。時々こういった方が、他のお医者さんに心雑音が聞こえると言われました、と心配して来られることがありますが、明らかに機能性雑音と思われる時は、精密検査のおすすめもしていません。雑音が聞こえないこともあります。
たまに機能性にしては音が大きいと感じる時、非常に耳障りな音の時には精密検査をしてもらっています。が、この場合も、結局何も異常がないことが多いです。時々軽い肺動脈弁の狭窄や、心房に穴が開いていて手術が必要になる方もあるようですが。

copyright(c) Yamauchi Clinic. all right reseaved.