LDH・LDHアイソザイム(12/5/28更新)

[LDHとは]
体内で糖分がエネルギーに転換されるときにはたらく酵素の一種です。ほとんどあらゆる細胞に含まれていますが、肝臓や腎臓、心筋、骨格筋、赤血球などに特に多く含まれています。したがって、これらの臓器などに異常があって細胞が壊死すると、細胞中のLDHが血液の中へ大量に流れ出します。その量を測定するのがLDHの検査です。
LDHの中にはアイソザイムと呼ばれる成分が存在します。 アイソザイム(Isozyme)とは、アイソエンザイム Isoenzymeとも呼ばれる酵素ですが、5種類のアイソザイムが存在します。
その5種類を、LDH1、LDH2、LDH3、LDH4、LDH5と呼びます。
これらは、それぞれ、どの臓器に多く含まれているかが異なります。
■LDH1とLDH2==心筋や赤血球、腎臓に多く存在します。
■LDH2・LDH3・LDH4==肺、白血球、リンパ球などに多く存在します。
■LDH5==骨格筋や肝臓などに多く存在します。
病気によって増える種類が異なります。LDHの値が高い場合には、アイソザイムを調べて由来する臓器を推定します。

[検査の目的]
LDHが含まれている上記の組織に障害が起こると、血液中にLDHが流れ出して高値を示すようになります。特に急性肝炎や肝臓がん、あるいは心筋梗塞のときに著しく増加します。
そのほか、慢性肝炎や肝硬変などの肝臓病、腎不全、悪性貧血などの血液病、筋ジストロフィーなどの骨格筋の病気、間質性肺炎、さまざまな臓器のがんなど、多くの病気で血液中に増加するので、これらの病気を発見するスクリーニング(ふるいわけ)検査として用いられています。

[基準値]
120〜240IU/l 測定法(ほかにUV法、PL反応法など)によって異なるので注意が必要です。
男女の差はありませんが、妊娠後半期に急上昇し、出産前は基準値の2倍近くになります。
新生児は成人の2倍程度高く乳児から幼児と成長するに従って下がり、思春期以降は成人の値へと近づきます。
また激しい運動後は高値を示すことがあります。 これは、激しい運動により筋肉が損傷しているためです。

[高値の時に疑われる疾患]
肝疾患: 急性肝炎 ・ 慢性肝炎 ・ 肝硬変 ・ 肝臓がん など
心疾患: 心筋梗塞 ・ 心不全 など
腎疾患: 腎不全 ・ ネフローゼ症候群 ・ 腎梗塞 など
骨格筋疾患: 進行性筋ジストロフィー ・ 多発性筋炎 ・ 皮膚筋炎 など
血液疾患: 溶血性貧血 ・ 悪性貧血 ・ 白血病 ・ 悪性リンパ腫 など
その他の疾患: 肺梗塞 ・ 悪性腫瘍 ・ 感染症 など

基準値のところに書きましたように、子どもさんは大人より高めですので、検査結果では「高値」の↑がついてしまいますが、問題はありません。赤血球の中にたくさん含まれるので、GOTのように難しい採血時に、時間がかかって溶血してしまい、必要以上に高値になってしまうこともあります。
大人は肝機能検査、心筋梗塞の判断に使われることが多いですが、小児の場合は、白血病のような悪性疾患の除外の目的で調べることが多いですね。

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