新生児肝炎・乳児肝炎(12/5/21更新)

[乳児期の肝炎とは]

本来は生後3ヶ月までに起こる閉塞性の黄疸をおこすものですが、生後数日で起こる生理的黄疸に引き続いて発症することが多いです。(別名/新生児肝炎)。肝臓の細胞が何らかの理由により傷害を受け、肝臓のはたらき(栄養の代謝、貯蔵、糖新生、解毒作用など)が障害される病気です。
頻度は出生4800〜9000人に1人とされ、、新生児期の肝疾患としてはもっとも多いものです。家族内発症が10〜15%に見られ、散発例に対して予後が悪い傾向があるといわれています。

[原因]
はっきり分かっていません。種々の疾患が含まれていると思われます。肝炎ウイルス(A型・B型・C型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルスなど)や、その他の明らかな感染症、胆道閉鎖症、総胆管拡張症、新生児胆汁うっ滞を示すシトルリン血症を含む代謝性疾患、胆汁酸代謝異常症などを除外した、原因不明の、新生児期から認められる肝機能障害です。

[症状]
新生児に現れる黄疸(新生児生理的黄疸)が、生後1カ月を過ぎても消えずに長引き、便の色が淡黄色〜灰白色を示します。体重増加不良となり、肝臓脾臓の腫大が認められます。これらの症状は、一般的には生後2カ月以内に現れます。

[治療]
栄養管理、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の補充、胆汁排泄促進剤などの投与。合併症には頭蓋内出血などの重篤なビタミンK欠乏性出血やビタミンD欠乏によるクル病、ビタミンE欠乏による神経学的異常などのものがありますので、ビタミンA、D、Eなどを投与します。脂肪吸収改善を目的に、吸収に脂肪酸が関与しない中鎖脂肪酸を含むMCTミルクを投与します。

[予後]
ほとんどは1歳までに正常化します。一部は肝炎が遷延し肝硬変に進展することもあります。

実際に出会うのは黄疸もなく、肝機能(GOT・GPT)の数値が高いのみのお子さんの方が多いです。何かのウイルスの感染に伴って、一時的にやや肝機能が悪くなった状態、と考えて良いと思います。数値が3ケタをかなり超えた状態の時には要注意ですが、サイトメガロ等のウイルス抗体価が上昇している場合も多く、サイトメガロウイルス感染症(肝炎)と診断されることもあります。本人の食欲の低下もなく、何も症状がない時には安静にしているだけで自然に良くなることが殆どです。

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