子どものうつ病(11/10/31更新)

[うつ病とは]
うつとは、非常に強い悲しみの感情です。最近起きた喪失体験や悲しい出来事などの後、誰もが一時は悲しい気分や"ゆううつ気分"を経験するものです。それは日常生活において当たり前のことです。そのような出来事と不釣り合いなまでに悲しみが強くなったり、しかるべき期間を過ぎてもその悲しみが続き、否定的な感情が生活に支障をきたす場合にうつ病となります。

[原因]
うつ病全体における子供のうつ病の割合は児童期、つまり12歳未満のうつ病有病率は、0.5パーセントから2.5パーセント、さらに、思春期以降の12歳から17歳では、2.0パーセントから8.0パーセントといわれています。うつ病の原因は不明ですが、脳の化学作用の異常がかかわっていると思われます。遺伝的にうつ病になりやすい人もいます。うつ病は人生経験と遺伝的な要因が組み合わされて起こるのだと考えられます。甲状腺機能低下症などの病気が原因となることもあります。

[症状]
子供のうつ病の症状は、非常に強い悲しみや自分は無価値だという感情、罪悪感などと似ています。子供はスポーツやビデオゲーム、友達と遊ぶなど、普段は喜んですることに対する興味を失います。食欲は増加する場合も減退する場合もあり、著しい体重の変化を引き起こします。睡眠障害もよく起こり、不眠症と睡眠過剰の両方がみられます。うつ病の子供は活気がなく身体的にも活発でないことがよくあります。しかし幼い子供ではうつ病の症状が外見上は相反する症状、たとえば過度の活動や攻撃性、反社会的行動などによって隠されていることがあります。うつ病の症状は子供の思考力や集中力の妨げとなって、学校の勉強がうまくいかなくなります。
子どもはまだ成長段階にあり、自分の気持ちというものをうまく客観的に表現できないこともあります。そのため、抑うつ感に悩んでいても、大人のようにいかにも抑うつ的にはならず、穏やかな表情をしていたり、少し元気がないかなという程度にしか見えないこともあるのです。子どものうつ病は、主に体がだるくてやる気が湧かない、ご飯を食べたくない、頭やお腹が痛いなどの身体症状の訴えとなることが特徴的です。

[対処のしかた]
お腹がすごく痛い」「頭がガンガンする」など、子どもが身体の不調を訴えたら、よく話を聞いてあげながらその症状を改善するようにしてあげるのはもちろんですが、症状が2週間以上続くようなら決して「怠け癖」と一蹴するのではなく、子どもの様子や周りの状況をよく観察して、医師やカウンセラーに相談するようにしてください。
うつの原因はよく分かっていませんが、本人の体質や長期にわたるストレスが引き金になるといわれています。家庭の環境に問題がある場合はうつも長期化する傾向がありますが、家庭そのものが原因かどうかは分かりません。気をつけたいのは、親が「自分の育て方が悪い」と過度に反省をしたり、周囲が家族を責めることです。
子供のうつも大人と同じく十分な休養が必要です。周囲は「がんばれ」など励ますのではなく、焦らずゆっくり治すことを考えましょう。
うつの治療は、最近では薬物療法が主ですが、、子どもへの抗うつ剤投薬に関しては、未だに専門家の間でもその効果と副作用について大きな論議もあり、担当医とよく話し合い、いろいろな可能性を知っておくことが重要でしょう。

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