ロタウイルスワクチン(11/9/20更新)

[ロタリックスとは]
ロタウイルスに感染した小児から分離された野生型ヒトロタウイルスを弱毒化したものです。2回の経口接種で、重症化しやすいロタウイルス胃腸炎を予防する効果があるとされ、実際に重症のロタウイルス感染症の発症を92%予防することが確認されています。ロタウイルス感染そのものの予防も70%可能といわれています。
海外では2004年7月にメキシコで承認されて以降、2011年6月現在、世界120カ国以上で承認・発売されており、世界で5000万人以上の乳児に接種されています。

[予防できるウイルス]
全世界のロタウイルス胃腸炎の90%以上は特定の5種類の型によって引き起こされています。ロタリックスは、全体の65%を占める「G1P[8]」という型から製造しています。が、それだけでは無く交差性の免疫ができるので、他の4種類の型のものにも予防効果があるといわれています。

[接種方法]
接種回数:2回 (4週間以上の間隔で2回内服します。)
接種方法:経口接種。 シロップ(液状)ワクチンを口から内服します。
接種月齢:生後6週から24週まで

[副反応]
国内試験508例中 接種後30日間に報告された主な副反応として、易刺激性(7.3%)、下痢(3.5%)、咳嗽/鼻漏(3.3%)が報告されています。世界中で問題なく安全に接種されています。 

接種月齢の期限の設定は、初回接種が60日以降において腸重積の副反応の発症が増加した、という1998年に発売されたロタシールドという名のロタウイルスワクチンのデータが、1つの根拠となっています。今はこのワクチンは販売されていません。ロタウイルス感染症でもまれに腸重積の合併を起こす事がありますが、ロタリックスの接種ではかってロタシールドで認められたような副作用としての腸重積の発生増加は、認められてはいません。
2歳まではロタウイルス感染症で入院しやすいのですが、頻度の高いのは7カ月くらいまでです。その理由もあって早期に接種する事が推奨されています。

子宮頸癌予防ワクチンと同様、このワクチンも製造法の違いで2種類あるのですが、取りあえず日本で先に承認されたのはロタリックスです。製造元はGSK、サーバリックスと同じです。もう一つはロタテック、と言います。製造元はMSD、ガーダシルと同じです。日本で先に認められたのが、いずれの場合もGSK製ですね…。
ロタテックは遺伝子再重合という手法で作られ、5種類のロタウイルス抗原全てに対応しています。接種開始月齢は同じですが、3回接種が必要です。

いずれにしてもまだ発売もされておらず、任意接種で費用も未定、おそらく10000円くらい?とも言われています。ロタウイルス感染症は、今の日本では死亡例は少ないのですが、時に脳症の発症もあり、非常にしんどい病気ではあります。Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンに続き、世界標準のワクチンが次々と日本で接種できるようになることは非常に良い事であるとは思います。が、定期接種が当たり前のおたふくかぜや水痘のワクチンには陽が当らず、未だに日本では任意接種であり、有料であるためにまだまだ接種率も低い、ということに疑問を感じたりもしています。

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