検査結果について 血小板数(11/8/29更新)

[血小板とは]
血小板は血液の成分の一つで、欠陥の損傷に反応し、出血を止める働きをしています。怪我をしたあとで自然に血が止まるのは、この血小板が正しく機能している証拠です。血管が破れると、血液中の血小板がその穴の部分に次々と集まってきて穴をふさぎ、やがて固まっていくのです。
また、血液の凝固には血小板のほか、凝固因子と呼ばれるタンパク質も関わっています。凝固因子はおよそ10種類ほど存在し、主に酵素や補酵素としての働きをもっています。しかし、通常は酵素としての働きはありません(不活性型)が、血管損傷などの引き金が出現する酵素として働きます(活性型)。これら活性型凝固因子の複雑な連鎖反応の結果フィブリンという凝固塊(血餅)が出来て止血します。

[検査の目的]
十分な量の血小板がないと、この止血作用が弱く、皮膚に出血斑が出現したり、歯肉から出血するなどの出血症状が出ます。また、血小板が正常より多く存在すると、血栓が起きやすくなり心筋梗塞、脳梗塞などの疾患の原因となります。そこで、一般検査として血小板数を測定することが必要なのです。

[基準値]
13.0万〜34.9万/μl
血液1μl中の血小板数が10万個以下で血小板減少症、40万個以上で血小板増多症とされます。10万個以下になると血が止まりにくくなり、さらに5万個を切ると自然に鼻血が出たり皮下出血が始まって紫色の斑点が出たりします。3万個以下では腸内出血や血尿、2万個以下になると生命も危険になります。

[異常な場合に疑われる疾患]
高値の場合:血小板数が高値となる原因として、血液を作っている骨髄の働きが白血病や真性多血症などの血液の疾患により邪魔をされ、正常な血球を作ることができず血小板の数が多くなることが考えられます。
骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病)、血栓症、感染症など
小児の場合は川崎病で血小板数が増える事がよく知られています。
低値の場合:血液を作っている骨髄の働きが白血病や再生不良性貧血などの血液の疾患により邪魔をされ、正常な血球を作ることができず血小板の数が少なくなることが考えられます。
血小板減少性紫斑症、急性白血病、再生不良性貧血、悪性貧血、肝硬変、バンチ症候群、全身エリテマトーデスなど

[体に出血斑があるのに血小板が正常値である時]
全身の凝固機能には異常がなく、皮下の血管がもろくなり、出血斑が出現する。
アレルギー性紫斑病、種々の感染症による血管性紫斑病、湿疹の掻破による皮下出血


小児科領域で血小板に注目する時は、主に川崎病の診断の補助、出血斑の鑑別診断(血小板減少性紫斑病かアレルギー性紫斑病か、白血病か)の二つです。
日常の診療で体に湿疹ができています、といって来られた時に、それが出血斑である事が時々あります。一番多いのがからだの痒みの為にかきむしって出血斑になったもの、次がアレルギー性紫斑病、感染による紫斑、更に頻度が減って血小板減少性紫斑病、時に白血病、といった頻度です。
今年は伝染性紅斑による出血斑、また、原因菌は不明ですが白血病かと思うほどひどい全身の出血斑、高熱、高度のCRPの上昇をきたしたお子さんも診ました。
頻度は多くはありませんが、ただ単にふつうの湿疹、と思っても出血斑の場合は湿疹の部分を押さえても湿疹が消えないので、少し注意して見てみて下さい。

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