検査結果について 赤血球数・ヘモグロビン量(11/8/23更新)

[赤血球とは]
赤血球は、胸骨や大腿骨・頚骨の内部にある骨髄の幹細胞でつくられている血液の主成分で、体の各部の組織細胞へ酸素を運びこみ、二酸化炭素を運び出す働きをしています。
赤血球の数が減ると必要なだけの酸素が送られなくなり、貧血状態になります。逆に数が多すぎると(多血症)、血液の流れが悪くなって血管が詰まりやすくなります。

[ヘモグロビンとは]
ヘモグロビンとは、赤血球中の大部分を占めている血色素のことで、ヘムという色素とグロビンというタンパク質からできています。赤血球中のヘモグロビンは、酸素を体内の組織に運び、かわりに二酸化炭素を受け取って肺まで運んできて放出し、再び酸素と結びついて各組織に運ぶという重要な働きを担っています。
必要量のヘモグロビンが作られない場合、酸素の運搬が十分に行われないため、貧血状態になります。足りない酸素を補うために血液の循環が速くなって動悸を引き起こしたり、呼吸運動が盛んになって息切れしたりします。

[検査の目的]
貧血には、赤血球の数が減ると同時に1個の赤血球に含まれるヘモグロビンも減る小球性低色素性貧血と、1個の赤血球に含まれるヘモグロビンの量は同じで、赤血球の数が減少する正球性正色素性貧血とがあります。赤血球数とヘモグロビン量とを比較することによって、いずれかの判別ができます。また、輸血を行なう際の指標としても用いられています。

[基準値]
赤血球数:・男性…430〜570万/μl
       ・女性…390〜520万/μl
幼児では600〜700万/μlと赤血球数が成人よりも多くなりますが、年齢とともに数値は下がり、15歳くらいで成人に近づきます。女性の場合、生理や妊娠のときに低値になります。運動や喫煙によって高値を示す傾向があります。
ヘモグロビン値:・男性…13.0〜16.6g/dl
           ・女性…11.4〜14.6g/dl
妊婦、高齢者は低い傾向にあります。幼児は低く、15歳くらいで成人と同じになります。

[検査結果の判定と対処]
男女とも1μl(=1mm3)中の赤血球数が300万個以下の場合は、明らかな貧血と診断されます。逆に貧血ほど多くはありませんが、赤血球の数が増えすぎて600〜800万個になることがあります。これは多血症(赤血球増多症)と呼ばれ、血液が濃くなって流れにくくなり、血管が詰まりやすくなります。
貧血は原因によっていくつかの種類に分類されます。
平均赤血球容積〈MCV:ヘマトクリット(一定量の血液中に含まれる赤血球の割合を調べる検査)÷赤血球数で算出するもので、赤血球の平均の容積つまり大きさがわかります。〉
平均赤血球色素濃度〈MCHC:ヘモグロビン量÷ヘマトクリットで算出。一定量の赤血球の中にどれくらいのヘモグロビンがあるかがわかります。〉の数値を比較することによって、それを診断することができます。
・MCVが上昇しMCHCが正常…大球性正色素性貧血(悪性貧血といわれるものでビタミンB12や葉酸の不足が原因)。
・MCVもMCHCも正常…正球性正色素性貧血(赤血球が脊髄で作られない再生不良性貧血、赤血球が破壊される溶血性貧血など)。
・MCVもMCHCも低下…小球性低色素性貧血(鉄欠乏性貧血のことで、鉄の欠乏によって起こり、貧血の大部分を占める)。

赤血球数やヘモグロビン量の検査結果を加味して赤血球恒数を求めれれば、貧血の種類や性質をおおよそ診断することができます。貧血には、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血などがあり、その種類によって二次検査や治療方法が異なります。
診断の結果、鉄不足による鉄欠乏性貧血であれば、肉や魚、レバー、緑黄色野菜などを多めにとる食生活に切れかえれば、1〜3ヶ月程度で症状は改善します。
通常でも不足しがちな鉄分、ビタミンB12、葉酸(ビタミンB12と葉酸は協力して、赤血球のヘモグロビンの合成を助けます)をしっかりとって、貧血状態にならないようにしましょう。

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