白血球数(11/8/8更新)

[白血球とは]
白血球は血液の成分の一つで、異物の進入に対抗してからだを守る働きをしています。細菌などの異物がからだに入ってくると、白血球の数が増加して、その異物を自らの中に取り込んで消化し無害化します。
一般的に末梢に流れている白血球は五つに分けられ、それぞれの働きがあります。
1)
好中球:好中球には、細菌などの外的を貪食(どんしょく)して、それを殺すはたらきがあります。
2)
好酸球:好酸球はアレルギー疾患の原因となるヒスタミンなどを分泌したりするので、アレルギー反応と関係しています。
3)
好塩基球:好塩基球は、真菌や寄生虫などの感染に対して抵抗を示すといわれています。
今あげた好中球、好酸球、好塩基球の三つをあわせて、顆粒球とよぶことがあります。顆粒球は、体に侵入してきたすべての異物や細菌などを攻撃する、非特異的な防御反応にかかわっています。
4)
単球:単球は、いろいろな外敵を貪食して、それを抗原としてリンパ球に認識させる、いわゆる抗原提示細胞としての働きが中心です。
5)
リンパ球:リンパ球は、いわゆる免疫反応をになう細胞です。リンパ球は、さりに大きく分けて三つあります。
(1)
Tリンパ球:Tリンパ球は、細胞性免疫と呼ばれる反応をおこして、他の免疫反応を抑制します。
(2)
Bリンパ球:Bリンパ球は、外敵に対する抗体をつくります。
(3)
ナチュラルキラー細胞:ナチュラルキラー細胞は、癌細胞やウイルスに感染した細胞を殺す働きがあります。

[検査の目的]
細菌感染症などの病気にかかっているときは、血液中の白血球数が増えます。一方、骨髄の造血機能の低下などがあると、白血球数は減少します。白血球数が減少すると、体の抵抗力が衰えて感染症にかかりやすくなります。一定量の血液中に含まれている白血球数を測定して、病気の有無を確認する事が目的です。CRPの時と同様、白血球数のみで確定診断をする事はできません。

[標準値]
白血球の正常値は、年齢によって異なります。成人の場合は、3300〜9000/μlとなっていますが、生まれたばかりの新生児や幼児は、成人よりかなり多めです。
    新生児:9000〜30000
    乳幼児:5000〜18000
    学童:5000〜13000
このように年齢が幼いほど、白血球の数は多めになる傾向があります。
また白血球の種類の比率も年齢によって差があります。顆粒球は大人ではリンパ球よりも比率が高いですが、4,5歳くらいまでは、リンパ球の方が顆粒球よりも多いのが普通です。

[高値を示す疾患]
1.50,000 /μL 以上 (高度増加)
考えられる病気
白血病、骨髄増殖性疾患、重篤な感染症(粟粒結核敗血症)、悪性腫瘍の全身散布、転移無顆粒球症や葉酸欠乏症の治療による回復期
どうしたらよいか
白血球が10万/μL以上の場合は血栓症のおそれが生ずるため、減少させる手段が必要となる。
白血病の場合は抗腫瘍剤の投与を開始する。 
2.10,000〜50,000 /μL (軽度〜中等度増加)
考えられる病気
感染症(細菌ウイルス)、自己免疫性疾患(リウマチ熱膠原病など、) 物理的(寒冷出血など)や心理的ストレス、重症の代謝異常(腎・肝不全など)、薬物中毒、白血病、骨髄増殖性疾患、妊娠、ステロイド剤の影響 
どうしたらよいか】  
確定診断に基づき治療
3.1,000〜3,000 /μL (軽度〜中等度減少)
考えられる病気
再生不良性貧血、抗癌剤の投与、薬剤アレルギー(サルファ剤、抗生物質、解熱剤、抗痙攣剤、抗甲状腺剤)、放射線照、射癌の骨髄転、移骨髄異形成症候群、悪性貧血、脾機能亢進症(特発性門脈圧亢進症など)、腸チフス、ウイルス感染症(麻疹、風疹、水痘など)、骨髄線維症、粘液水腫、AIDS、無顆粒球症 
どうしたらよいか
確定診断に基づき治療
3.1,000 /μL 以下 (高度減少)
考えられる病気
再生不良性貧血、抗癌剤の投与、薬剤アレルギー(サルファ剤、抗生物質、解熱剤、抗痙攣剤、抗甲状腺剤)放射線照、射癌の骨髄転、移骨髄異形成症候群、悪性貧血、脾機能亢進症(特発性門脈圧亢進症など)、腸チフス、ウイルス感染症(麻疹、風疹、水痘など)、骨髄線維症、粘液水腫、AIDS、無顆粒球症
どうしたらよいか
クリーンルーム(無菌室)の適応。
感染症に十分注意しG-CSF(顆粒球増加作用+)などの適応

白血球は子どもの場合は上述のように、基準値が少し高くても正常である事が多いので、血液検査では、CRPの値と合わせて異常と考えるかどうかを判断しています。よく、微妙…、というような表現をしてしまいますが、そんなに悪くないんだけれども、後は本人の様子を見て行くしかないだろう、という事が多々あります。
いずれにしても、大体の炎症状態を見ているだけで、確定診断はできないのですが、熱を出しやすい、続きやすいお子さんの予後の判断材料にしています。

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