CRP(11/8/1更新)

[CRPとは]
もともと肺炎球菌によって炎症がおこったり、組織が破壊されたりすると、この菌のC-多糖体に反応する蛋白が血液中に出現することからC‐反応性蛋白(CRP:C-Reactive Protein)と呼ばれていました。そのうちに肺炎以外の炎症や組織の破壊でも血液中に増加することがわかり、現在では炎症や組織障害の存在と程度の指標として測定されます。炎症性疾患のある場合、炎症や組織破壊の程度が大きいほど高値になり、炎症や破壊がおさまってくるとすみやかに減少します。

[検査の目的]
CRPは、正常な血液のなかにはごく微量にしか見られないため、炎症の有無を診断するのにこの検査が行われます。C反応性蛋白の産生量は炎症反応の強さに相関するため、血清中のC反応性蛋白を定量して炎症反応の指標とすることができます。すなわち炎症が強いほど血清CRP値は高くなります。細菌感染では上昇しやすく、ウイルス感染ではアデノウイルスなど一部のウイルス以外ではインフルエンザウイルスのように強い発熱を発症するものでも上昇は軽微です。つまり、通常の感冒では上昇しないことが多いです。また、マイコプラズマ感染では、成人では上昇しやすいですが、小児ではしにくいといった特徴も認めます。
同様の疾患で同程度の重症度の場合でも、CRPの上昇の程度には大きな個人差があります。そのため、CRPを他の患者の値と比較することはあまり有意義ではなく、一人の患者の経過を観察するために有用な指標といえます。
また、細菌性感染の炎症開始から6時間程度は上昇せず、反応が遅いです。炎症早期の指標としては白血球の左方移動、白血球数増加が有用となります。また、日本以外では炎症の指標として一般的に用いられること自体が少なく、英語論文における指標はもっぱら白血球に依存しています。
あくまで非特異性診断です。要するにこういう組織破壊や炎症が体内で起こっているかどうかの目安です。

[基準値]
0.3r/dl 以下

[高値を示す疾患]
・感染症(細菌性・一部のウイルス性など)
・自己免疫疾患(関節リウマチなど)
・悪性腫瘍
・ 外傷
・心筋梗塞 狭心症では数値はさほど上がらないとされる。
・その他、炎症を起こす疾患(胃炎・腸炎など)。

[経過と予後]

CRPの陽性度は症状の強さと平行するので反復検査で上記などの疾患の悪化、増悪、軽快を知ることができます。治癒に傾く時は早期に陰性化します。
従って治療方針の決定の目安になります。上記疾患に対してステロイドや抗生物質など各種薬物を投与するときにこのCRPの増減を見ることも、いつ中止するかなど判断の一つの基準にもなります。

熱が続くお子さん、又初期であっても、熱の高さや全身状態によって血液検査を行いますが、見ているのはこのCRPと、次の機会で述べる、白血球の数です。病気の重症度の反映になりますので、高熱が続いていてもCRPが高くなければ日にち薬で下がるのを待つだけで良い…。逆にたった1日しか熱が出ただけでもCRPが高ければ重症です。10r/dl以上の場合は入院が必要、7〜9mg/dlあたりで年齢の小さいお子さんで、食事が取れず、ぐったりしている場合は入院した方が楽かも…、それ以下の場合は必要なら点滴等をして様子をみます。
ただ上述のように、この検査は非特異的な反応ですので、例えば、肺炎があるかどうかという事は否定はできません。CRPが高くなくても、熱がいつまでも下がらない場合もありますし、余り続くと体力も消耗しますので、後は本人次第となります。大人では1週間近く熱が下がらない事は余り考えられませんが、残念ながらお子さんの場合は、ウイルスが原因でなかなか熱を下げてあげる事が出来ない事が多々あります。本人が元気であれば検査もしない事もありますが、中には調べてみて非常に悪くなっていてえっ!と思うこともありますので、常に注意は必要だと考えております。

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